■検査、診断、説明がきちんと行われているかどうかをチェックしよう
ここまで書いてきたように、適切な矯正歯科治療を受けるためには、患者自身がしっかりとした知識をもつことがまず大切。そこで矯正歯科医会が提言する、信頼できる矯正歯科を見極めるための”受診時の目安”を紹介しましょう。この6つの指針は子どもだけでなく、大人の矯正歯科治療にもあてはまります。
1.頭部X線規格写真(セファログラム)検査をしているか?
前ページに書いたように、セファログラムは、上下のあごの大きさやそのズレ、あごや唇の形態、前歯の傾斜、口もとのバランスなどの状態を正確に知るために不可欠な資料。一般歯科診療所では機器そのものがないところが圧倒的ですが、大学病院や矯正歯科治療を専門に行う診療所では、必ずセファログラムの撮影と診断が行われます。
2.精密検査を実施し、それを分析診断した上で治療をしているか?
精密検査は治療計画を立てる上で必須。一般歯科診療所の精密検査がパノラマX線撮影や口腔内検査程度であるのに対し、矯正歯科では前ページで紹介したような複数の検査をもとに治療が行われます。
3.治療計画、治療費用について詳細に説明をしているか?
矯正歯科では検査結果を詳細に分析した上で診断を行い、治療計画が立案されます。そして、わかりやすい治療のゴールやそのプロセス提示のもと、矯正歯科医から治療のメリット・デメリット、抜歯・非抜歯についての説明を受けることに。治療費についても同様で、治療費や調節料、支払い方法(一括・分割)、装置が壊れたときの対応、転医あるいは中止する場合の清算についてもくわしく説明がなされます。
4.治療中の転医、その際の治療費清算まで説明をしているか?
治療途中に転居などによって通院先が変わる可能性もあり得ます。そんな場合に備えて、治療費の清算および返金についての取り決め目安や、転居先近くの矯正歯科専門開業医の紹介についての説明をあらかじめしてくれるところだと安心です。
5.常勤の矯正歯科医がいるか?
矯正歯科医が非常勤だと、突発的なトラブルに対応してもらいにくいもの。常勤の矯正歯科医がいることは、次のようなメリットにつながります。
●治療において画像診断ができる撮影機器などの環境・設備が整っている
●矯正装置が壊れてしまったなど器具に不具合があっても、すぐに対応できる
●同じ担当医による一貫治療が行える
6.専門知識がある歯科衛生士、スタッフがいるか?
歯磨き指導ひとつとっても、一般の歯科治療とは違うため、矯正歯科への豊富な経験と知識があるスタッフがいることは、次のようなメリットにつながります。
●矯正歯科医の指導監督のもとに、患者さんへのさまざまな対応が可能となる
●治療中の口腔衛生指導が行える
●治療中の食事指導が行える
いかがでしたか? 今、矯正歯科治療を考えている人は、ぜひこの6つの指針を念頭に、信頼できる矯正歯科診療所を選んでください。 ここに挙げた6つのほかに、矯正歯科治療の専門知識と診療技術の資格試験をパスして認定された「日本矯正歯科学会認定医」(約2,500名)がいる診療所は信頼性が高いといえます。認定医については、以下のホームページから検索できます。
http://www.jos.gr.jp/roster/