|質の高い矯正治療と安心の提供に努める矯正歯科専門の開業医団体「日本臨床矯正歯科医会」

第20回ブレーススマイルコンテスト 作品募集開始!

第20回ブレーススマイルコンテスト 作品募集開始!

~:『最高のスマイル‼︎ ブレースとともに』~

募集期間:2024年7月1日(月) ~ 8月31日(土) 

 

矯正歯科治療中の方を対象とした笑顔のフォトコンテスト「第20回 ブレーススマイルコンテスト」の作品募集を 2024年7月1日(月)から8月31日(土)まで行います。

本コンテストの今年のテーマは最高のスマイル‼︎ ブレースとともにです。

下記募集要項をご覧いただき、奮ってご応募下さい

第19回キッズ部門最優秀賞 受賞作品

『第 20 回ブレース スマイル コンテスト 募集要項』

テーマ 『最高のスマイル‼︎ ブレースとともに』
募集期間 2024年 7月 1日(月)から 8月 31 日(金) ※締切日必着
応募条件 ★応募者が被写体であり、矯正歯科治療中の方。応募者のブレース〈矯正装置〉がはっきりと写っていること。
★受賞の対象となるのは、応募者のみとなります。〈被写体は複数人可〉
★今後、日本臨床矯正歯科医会、日本歯科矯正器材協議会が行う啓発活動にご協力いただける方。
★応募作品はお一人につき1点のみとさせていただきます。
※複数名でのご応募は不可とします。
応募方法 デジタル写真データ(JPEG/PNG)でご応募ください。

<デジタル写真データの応募方法>
ページ下の応募フォームからご応募ください。
○デジタル写真データは1枚5MB程度でお送りください(2MB以上推奨)。

○必要事項:
応募者氏名(フリガナ)/年齢/郵便番号/住所/電話番号/メールアドレス(キャリアドメイン@docomo.ne.jpや @ezweb.ne.jpなどは受付不可です。)/治療医院名/治療医院電話番号/治療開始年月日/募集を知った方法〈医院、メディアなど〉/写真のタイトル/ご応募写真についてのコメント〈~100字程度〉

各賞 ※ご応募いただいた作品から入賞12作品(予定)を選出後、下記の各賞を選考します。
★最優秀賞(1名) ★優秀賞(1名) ★大会賞(1名)
賞金 ★最優秀賞(一般部門・ジュニア部門)各1名:賞金7万円
★優秀賞(一般部門・ジュニア部門)各1名:賞金3万円
★大会賞(1名):賞金3万円
★入選作品応募者にはQUOカード5,000円分進呈
受賞者発表 11月に日本臨床矯正歯科医会ホームページ等で入賞12作品(予定)を公開予定。12月に日本臨床矯正歯科医会ホームページ等で最優秀賞、優秀賞、大会賞等の発表を予定しています。
(日本臨床矯正歯科医会ホームページhttp://www.jpao.jp)※発表後、最優秀賞、優秀賞、大会賞受賞者の皆様には、2025年実施予定の表彰式へご招待させていただきます。またその他の受賞者の皆様にもご招待のご連絡をさせていただく場合がございます。
注意事項 ※撮影者の方、また撮影時以外のマスクの着用など、新型コロナ感染症に十分にご留意ください。
※応募作品(写真タイトル、応募コメントを含む)の使用及び著作権は日本臨床矯正歯科医会に帰属し、当会の書籍などの出版物やウェブサイト、PR・プロモーションのために使用させて頂きますので、あらかじめご了承ください。なお、応募作品の返却はいたしません。
※応募作品を日本臨床矯正歯科医会の出版物やウェブサイト、PR・プロモーション活動等に使用する場合、必要に応じ画像のトリミングや色調の補正等の加工を行う場合があります。
※第三者の権利(著作権、肖像権など)を侵害する作品は応募できません。応募作品に著作権や肖像権の問題が発生致しましても、当会はその一切の責任を負わないものとし、その責任・解決はすべて応募者に帰属するものと致します。
※応募作品(写真タイトル、応募コメントを含む)は、日本臨床矯正歯科医会の主催する催し、広報発表資料や広報誌、作品集等の出版物、ポスター・チラシ、ウェブサイト等で使用する場合がございます。また、応募作品(写真タイトル、応募コメントを含む)は、日本臨床矯正歯科医会が認めるメディア、協力団体等に提供する場合がございます。作品の使用にあたっては、応募者の氏名や年齢、居住都道府県の表示を行う場合がございます。
※応募作品の写真の使用を除き、応募に関する個人情報は、本コンテストに関連する業務(賞の発表や連絡を含む)以外には使用いたしません。
※本コンテストにご応募いただいた皆様には記念品として、応募作品を掲載した記念ポスターをお渡ししております。住所・連絡先の不明により記念ポスターが返送された場合、再送はいたしませんのでご了承ください。
後援 日本歯科矯正器材協議会
問い合わせ先 日本臨床矯正歯科医会 第20回ブレース スマイルコンテスト応募事務局
E-mail:brace-smile-contest@jpao.sakura.ne.jp

応募フォームはこちら

 

第20回ブレーススマイルコンテスト応募チラシはこちら

Instagram「ブレーススマイル2024」でも情報発信中!

brace_smile_contest

vol.34 素敵な笑顔にまっしぐら!「第19回ブレーススマイルコンテスト」表彰式レポート

「第19回ブレーススマイルコンテスト」表彰式レポート&インタビュー 素敵な笑顔にまっしぐら!

矯正歯科専門開業医の全国組織である公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(会長:陶山 肇)が
2005年から開催している「ブレーススマイルコンテスト(通称:ブレスマ)」。
それは名前が示すとおり、矯正歯科治療中の方を対象にした笑顔のフォトコンテストです。
今回のトレンドウォッチでは2024年2月21日(水)に行われたブレスマ表彰式の様子と受賞者の声を通して、
矯正歯科治療によって生まれる“素敵な笑顔”の秘密に迫ります!(記事作成 2024年4月18日)取材・文:冨部志保子(編集・ライター)

受賞作品が選ばれるまで

応募総数は、全国の6歳から65歳までの359点!

コロナ禍が終わり、約3年間続いたマスクの着用義務が解除された昨春以降、「口もと(=歯並び)が気になる」という人が増えています。

そこで検討されるのが、矯正歯科治療です。

よく噛める安定した咬み合わせは、見た目が美しいだけではなく、健康に生きるための土台となるもの。技術や矯正器材が進化した今、歯周組織が健康であれば矯正歯科治療は年齢を問わずに受けることができ、よく噛める整った歯並びを手に入れることができるのです。

19回目を迎えた今回の「ブレスマ」でも、こうした世の中の矯正歯科治療への理解の広まりを受け、全国の6歳から65歳までという幅広い年齢層の方から、359作品もの治療中のスマイルフォトが寄せられました。

第19回の応募チラシ
「第19回ブレーススマイルコンテスト」の応募ポスター。
どこかで目にしたことがあるのでは?

第19回の応募テーマは「素敵な笑顔にまっしぐら!」。このテーマを表現した作品は、それぞれに個性的です。

特に今回は、これまで1作品のみの選出だった最優秀賞が【一般部門】と【キッズ部門】に分かれたことで計2作品が選出されることとなり、応募者の年代がこれまで以上に広がりました。

また、インスタグラムなどSNSでの告知によってブレスマの認知度が高まったことで、主催する日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)の会員診療所以外の矯正歯科や、大学病院で治療を受けている患者さんからの応募が全作品中65作品と増加したのも今回の特徴です。

こうした中、受賞作品はどのようなプロセスを経て選ばれたのでしょうか? さっそく振り返ってみましょう。

一次審査で入選12作品が決定

事務局に集まった応募作品は、まず一次審査にかけられます。
今回、一次審査が行われたのは2023年9月21日(木)。全応募作品(写真とコメント)をテーブルの上に並べ、関係者らが1点1点をじっくりと見たうえで、12点の入選作を選出していきます。審査には、日本歯科矯正器材協議会、日本矯正歯科学会、日本学校歯科医会、東京都学校歯科医会、全国養護教諭連絡協議会の代表者の方々にお集まりいただきました。

皆さん、それぞれの立場で矯正歯科治療や歯の健康にかかわる方ばかりのため、机の上にずらりと並ぶ“ブレスマフォト”を前に、和やかなムードです。「この写真、いいですね」「この応募コメント、感動します」などと一つ一つの作品の前で足を止め、じっくり目を通しながら審査が続きました。そして全員で投票を行い、入選12作品が選出されました。

写真とコメントに熱心に見入る審査員の方々
写真とコメントに熱心に見入る審査員の方々

一次審査を通過した12作品は二次審査へとまわります。

今回は「第82回日本矯正歯科学会」(11月1日~11月3日)の期間中、入賞作品をパネル展示し、web投票を実施。加えて、11月1日~5日には一般からの厳正なweb投票を行い、第19回の最優秀賞2作品が選出されました。
※大会賞の選出は後日。

二次審査では、パネル展示した入賞作品を見て投票+web審査で受賞作品を選考
二次審査では、パネル展示した入賞作品を見て投票+web審査で受賞作品を選考

段階を踏み、審査する側も真剣かつ楽しみながら、受賞作品を選ぶのは毎年のこと。選ばれた作品はもちろんですが、残念ながら選ばれなかった作品にも、写された笑顔には輝くような未来への期待が込められていたのが印象的でした。

※応募していただいたすべての方には、後日、ブレスマ記念ポスターが進呈されました。

打ち合わせとリハーサルを経て本番へ

表彰式会場は長野駅直結の「ホテルメトロポリタン長野」

そして、迎えた2024年2月21日(水)。
「第19回ブレーススマイルコンテスト」の表彰式当日です。今回の開催場所は、JR長野駅直結の「ホテルメトロポリタン長野」。

運営にあたる広報委員の先生たち

表彰式は午後2時50分からの予定ですが、運営にあたる広報委員の先生たちは少し早めに集まり、全体の進行をチェックしながら、会場脇の控え室で受賞者の到着を待ちます。

午後12時、受賞者の梶川慶人さん(キッズ部門最優秀賞)と平林よし子さん(大会賞)がご到着。その後、全体の流れの確認や表彰式のリハーサルなどを行い、関係者全員で本番に備えます。

本番を想定したステージ上でのリハーサル。会場席ではベストショットの撮影準備も着々
本番を想定したステージ上でのリハーサル。会場席ではベストショットの撮影準備も着々

※今回は残念ながら大川浩子さん(一般部門最優秀賞)はお仕事のご都合でご欠席ですが、事前にオンラインでお話をうかがうことができました。後ほどご紹介します!

あたたかな拍手と笑顔があふれた表彰式

「ブレスマ」の輪を、これからも

舞台上でのリハーサルが終わると、いよいよ表彰式の始まり。
会場には続々と人が集まります。

舞台上でのリハーサルが終わると、いよいよ表彰式の始まり。会場には続々と人が集まります。
日本臨床矯正歯科医会副会長 佐藤國彦先生
日本臨床矯正歯科医会副会長
佐藤國彦先生

最初にステージに立ったのは、矯正歯科医会副会長・佐藤國彦先生。
その挨拶の中で、日本で生まれた「ブレスマ」が今日までの間に台湾、韓国、フィリピン、シンガポールと世界に広がっていることが紹介され、来年第20回という節目のときを迎えるのを機に、今後ますます大切に育てていきたいという決意が語られました。

続いて、「第19回ブレスマ」への応募が最も多かった会員診療所の発表です。

今回の「最多応募医院」は、30名の患者さんが応募した福岡県の「ながやま矯正歯科クリニック」です。実は、同診療所の受賞は昨年に続いて2年連続。副院長の永山哲聖先生がステージに上がると、あたたかな拍手が起こりました。

永山哲聖先生からのメッセージ

当診療所では、以前から応募期間中、待合室に「ブレスマ」ポスターを掲示しているほか、院長や私から患者さん一人一人に「ブレスマ」への応募をお願いし、リーフレットをお渡ししています。そしてダブってお伝えすることがないように、すでにお願いをした患者さんにはカルテに「ブレスマOK」と書き込むようにしています。このコンテストは患者さんのモチベーション向上に非常に役立つと思うので、これからも続けていくつもりです。

感謝状を受け取る永山先生(右)
感謝状を受け取る永山先生(右)

大会賞は、長野県在住の平林よし子さん

そして、いよいよ受賞者の表彰です。

まずは開催地である長野支部の先生方が選んだ大会賞の表彰から。

壇上のスクリーンに大きく映し出されたのは、陽ざしの中でご主人との仲睦まじい写真が印象的な平林よし子さん(ひらばやし・よしこ)さん(61歳)の作品『背中を押してもらって』です。

大会賞『背中を押してもらって』大会賞
『背中を押してもらって』
平林よし子さん

平林よし子さん

【応募コメント】

還暦を迎える少し手前。仕事も辞め、時間もある事だから『おもいっきり笑って人生楽しむ為』『歯周病リスクを減らして健康でいる為』に主人より矯正の提案をされました。正直年齢的に、矯正するべきなのか心配は大きかったです。5本の抜歯も決断が中々つかず、様子を見ながらの治療でした。ようやく歯並びが整ってきた今「矯正を始めて良かった」と心から思います。矯正が終わったらたくさん食べ歩きをして、今まで大きな口を開けるのが恥ずかしくてトライできなかったコーラスも始めてみようかなと思います。矯正を薦めてくれた主人には、心から感謝です。ありがとう。

主治医から花束を受け取る平林よし子さん
主治医から花束を受け取る平林よし子さん

お二人ともリラックスした、よい表情。ふだんからの関係のよさがこの一枚に現れているようです。ご主人からのひと言で治療をスタートし、将来の夢も広がったという平林さん、受賞おめでとうございます!

キッズ部門最優秀賞は、愛知県在住の梶川 慶人さん

続いては、キッズ部門最優秀賞に選ばれた愛知県在住の梶川 慶人(かじかわ・けいと)さん(10歳)の作品『暑さにも負けない笑顔!』です。

キッズ部門最優秀賞キッズ部門最優秀賞
『暑さにも負けない笑顔!』
梶川 慶人さん

梶川 慶人さん

【応募コメント】

痛みに弱い息子。ブレースがつく事で大好きなサッカーの負担にならないかな、痛くて嫌にならないかな、と不安の中始めた矯正でしたが、(親の心配をよそに)サッカー中もこの笑顔! まだ矯正を始めたばかりですが、キレイな歯並びに一歩一歩近づいていく姿を本人も嬉しそうに眺めています! 猛暑の中、サッカーフェスティバルで優勝した時の笑顔溢れる思い出の1枚。

副会長の佐藤先生から賞状を受け取る梶川慶人さん
副会長の佐藤先生から賞状を受け取る梶川慶人さん

作品タイトルどおりの輝く笑顔は、それだけでインパクト十分。その清々しい表情からは、矯正歯科治療が日常の中にすっかり溶け込んでいることが伝わってきます。梶川さん、受賞おめでとうございます!

優秀賞2作品目は、大阪府在住の小川友子さん

そして最後に、一般部門最優秀賞の発表です。
今回、数ある応募作品の中から選ばれたのは、三重県在住の大川浩子さん(46歳)の作品『矯正治療に年齢は関係ない!』です。

一般部門 最優秀賞『矯正治療に年齢は関係ない!』一般部門 最優秀賞
『矯正治療に年齢は関係ない!』
大川 浩子さん

大川 浩子さん

【応募コメント】

私の歯並びはリアス式海岸のようなガチャガチャの歯並びでした。ウララ矯正歯科クリニックの杉村院長のお勧めで矯正治療を始めました。キャンピングカーに乗って日本全国お片付け1人旅を120歳まで頑張るぞぉ~!

欠席された大川さんへは、主治医を通して賞状と賞金が送られます
欠席された大川さんへは、
主治医を通して賞状と賞金が送られます

著名な書家の「楽」という字のそばでヒマワリのお花となった大川さん。微笑みを浮かべた口もとには、ブレースがしっかりと装着されています。お顔と口もとに自然と目がいく演出が素晴らしいこの作品、見ているこちらまで明るい気持ちになってきます。
大川さん、受賞おめでとうございます!

第19回ブレーススマイルコンテスト受賞者の皆さんにうかがいました

表彰式ではこの後、受賞者の皆さんとのクロストークが行われ、治療への想いがそれぞれの言葉で語られました。実は、本番に先立ち、受賞者の皆さんには事前にお話をうかがっていました。ここでは、その事前インタビューを通して、表彰式では語られなかった本音も交えつつ受賞者の素顔に迫ります。

受賞者Interview-1

ブレースは、
第二の人生を楽しむ私の相棒です
一般部門 最優秀賞 大川 浩子さん(三重県/62歳)

※事前収録したオンライン画像より
※事前収録したオンライン画像より

受賞した写真は、どういうシュチュエーションで撮られたものですか?

一般部門 最優秀賞『矯正治療に年齢は関係ない!
一般部門 最優秀賞
『矯正治療に年齢は関係ない!』

撮影した場所は、自宅です。車庫にとめてある愛車のキャンピングカーの前で撮りました。もともと私は物流会社を経営していたのですが、還暦を機に息子に社長の座を譲ることにして、退職金代わりに手に入れたのが、このキャンピングカーです。今の私にとって、愛車で一人旅をする時間が何よりの楽しみになっているので、この車の前で撮るのが一番自分らしいと思いました。
ただ、こんなふざけた写真で最優秀賞がいただけるなんて思ってもみませんでした。光栄です。

キャンピングカーで一人旅、素敵ですね

ありがとうございます。私はこれまで両親と義理の両親の4人を同時に介護していた関係で、地元の三重県から外に出ることができなかったのですが、4人を無事に看取ることができ、社長業もしっかり次の世代に引き継ぐことができたので、今度は自分の時間を楽しもうと思って旅をしています。旅先では道の駅に泊まったり、各地の温泉を楽しんだり。いろんなお友達もできましたよ。

矯正歯科治療も、大川さんがずっとしたかったことなのでしょうか?

そうです。応募コメントに書いたように、もともと私の歯並びはリアス式海岸のように入り組んでいて、とりわけ下の歯はガチャガチャでした。ですから、笑うのが苦手でしたね。特に大きな口を開けて笑うとガチャガチャの歯が見えるので、思いっきり口を開けて笑うことができませんでした。

それで50代の頃、取り外しのできるプレート状の装置をつけて矯正歯科治療を始めることにしたんです。3年ほど装置を使いましたね。でも、ちょっと油断してはめずにいると、また元に戻ってしまったりして、なかなかきちんと歯が揃わなくて。そんなとき、趣味の乗馬を通して矯正歯科の先生と出会い、相談してみたところ、「あなたには、その治療法は合わないですよ』といわれて。それで3年ほど続けた治療をいったん、やめることにしたんです。

それは大変でしたね。その後に再び矯正歯科治療を始めたのですね

はい。その矯正歯科の先生から「今の歯並びを放置していると顎関節症になって、食事がおいしくとれなくなるかもしれませんよ」と言われたので、それは困ると。というのも、私は昔から120歳まで健康に生きることが目標なんです。そこには自分の歯でよく噛んで、おいしく食事を楽しむことも含まれているので、これは絶対に治さなきゃと思いました。

治療を始めてみて、いかがですか?

ちょうど今、ブレースをつけて1年半経ったところです。先生からは治療前に「60歳からの治療は痛いかもしれませんよ」と言われましたが、「2年ほど我慢すればキレイな歯並びになって、おいしいものをよく噛んで食べられる健康が手に入るなら、多少の痛みなんて気になりません」と答えて今に至ります。結局、痛みは思ったほどではありませんでした。最初の頃は毎月の通院でワイヤーを調整してもらった後に少しは感じましたが、そういうときは早めに眠るなど、痛みに意識を向けないように過ごしていました。治療の痛みは“慣れ”。慣れてしまえばこっちのものです。

大人の場合、矯正装置をつける前にむし歯や歯周病の治療をする方も少なくはないですが、大川さんはいかがでしたか?

私の場合は、親知らずが2本、斜めに生えていたので、口腔外科に入院して抜いてもらいました。ブレースをつけたのはその後です。大変でしたが、私は元来、考え方がポジティブなので、これを乗り越えればキレイな歯が手に入ると思い、治療する気持ちは揺らぎませんでした。

今、治療はどのような段階なのでしょう?

事前録画した動画で喜びを語る大川さん
事前録画した動画で喜びを語る大川さん

上下の歯に顎間ゴム(※)をかけて顎のゆがみをとってもらっているところです。ゴムは歯磨きと食事のときだけ外し、後はつけておくので、外した後にちゃんとつけるのは私の役目。忘れないように、ちゃんとつけていますよ。つければつけただけ、歯並びがキレイに仕上がりますから。おかげさまで、今年の夏前にはブレースが取れる予定です。

※顎間ゴム=主に上下顎の咬み合わせを補正するために使う小さな輪ゴム。

最後に、今、矯正歯科治療を検討中の方にメッセージをお願いします

最後に、今、矯正歯科治療を検討中の方にメッセージをお願いします

今、矯正歯科治療を考えている人がいたら、ぜひやってみてほしいですね。若いうちにするほうが、もしかしたら治療が楽で、お金も安く済むかもしれませんが、やりたいと思ったときが始めどきです。50代からでも60代からでも、きちんと治療をすれば健康が手に入るし、美しい歯並びで笑える人生になります。口もとの印象って大きいので、そこが整うと女性は美人に、男性はハンサムになって魅力アップできますよ。

受賞者Interview-2

カラーゴムの色を自分で決めて
治療生活を楽しんでいます!
キッズ部門 最優秀賞 梶川 慶人さん(愛知県/10歳)

キッズ部門 最優秀賞 梶川 慶人さん(愛知県/10歳)

受賞の知らせを聞いたときは、どう思いましたか?

うれしかったです。とれたらラッキーかなあと思っていたけど、本当にとれるとは思っていなかったので。応募した写真は、去年の夏、所属しているクラブチームのサマーフェスティバルで試合の後に、お母さんに撮影してもらったものです。試合で勝って、優勝がほぼ決まりっていうときだったので、自然に笑顔になりました。

★お母さま談:以前から「ブレスマ」のことは知っていて、息子が治療中に絶対応募しようと思い、いろんな写真を撮っていました。その中で、この写真はベストショット(笑)。ですから、選んでいただいてとてもうれしいです。

それでいい笑顔なのですね! サッカーはどれくらい続けているのでしょう?

幼稚園の頃からなので、もう7年くらい続けています。今のポジションはボランチっていって、攻撃も守備もする、一番よく走るポジションです。ブレースをつけていても特に困ることはなく、ふつうに練習も試合もできました。

ところで、治療する前は、どんな歯並びだったのですか?

キッズ部門 最優秀賞『暑さにも負けない笑顔!』
キッズ部門 最優秀賞『暑さにも負けない笑顔!』

上下の前歯の咬み合わせが逆で、ちょっと受け口ぎみでした。それに上の歯がデコボコしていました。

★お母さま談:矯正歯科の先生には、このまま放置すると永久歯が顎に入りきらないといわれました。それで今は顎を少し広げて歯が並ぶスペースをつくっている状態です。早めに治療を始めたおかげで、ブレースをつけて2~3か月で、前歯の咬み合わせが正常になりました。
下の娘も受け口ぎみで、慶人と似た歯並びなので同じ矯正歯科に通わせているところです。

受け口は早めの治療が肝心といいますから、よい選択でしたね。
慶人くんは、矯正歯科治療を始めることに対してどんな思いがありましたか?

いやじゃなかったです。歯並びも悪かったし、それが治るならいいなと思いました。それに、治療も痛そうじゃないなと思ったので。

実際に治療を始めてみて痛みはなかったですか?

ブレースをつけたのは去年の8月ですが、痛くなかったです。最初のときから全然平気でした。

★お母さま談:慶人は痛みに弱いほうなのに、一度も「痛い」と言ったことがなく、最初のときから普通にご飯も食べることができました。もしかすると先生が痛みを感じにくいようにゆっくりと歯を動かしてくださったのかもしれません。おかげで慶人の中では「矯正歯科治療=楽しいもの」になっていて、毎日鏡で自分の歯を見て楽しんでいます。

今日もカラーゴム(※)をつけていますね。
通院のたびに色を変えたりしているのですか?

表彰式では、お母様と妹さんが会場から梶川さんを見守りました
表彰式では、お母様と妹さんが会場から梶川さんを見守りました

はい。通院の前に、ブレースつけるカラーゴムを何色にするかを考えるのが楽しいです。
これまでにしたのは赤とか黄色。今日は表彰式のために青にしてみました。

★お母さま談:「ブレスマ」での受賞で自信がついたのか、それまではずっと透明のゴムだったのに、急に「カラーゴムにしたい」と言い出して、毎回いろんな色を楽しんでいます。その意味でも、今回の受賞は前向きに治療を受けるよいきっかけになったと思います。

※カラーゴム:ワイヤーをブラケットに固定するための小さなゴムのこと。

受賞者Interview-3

「百聞は一見にしかず」。
思い切って治療をして、本当によかった
大会賞 平林 よし子さん(長野県/61歳)

大会賞 平林 よし子さん(長野県/61歳)

応募コメントを読むと、ご主人の言葉から治療を始めたということですね

そうなんです。矯正歯科治療は若い人がするものという先入観があったので、きっと私は歯並びが悪いまま老後までいくんだろうと思っていました。
そんなとき、主人が「歯並びが悪いままだと歯が長持ちしないから、矯正歯科治療を受けてみたら?」と言ってくれて。そこから治療を考え始めました。

もともとはご自分の歯並びが気になっていたのですか?

左右に八重歯があって、歯に対してあごが小さく、下の前歯が重なっていたので、気にはなっていましたね。歯磨きもしづらかったし、頬の内側の肉をよく噛んで口内炎もできやすかったので。ただ、自分の歯並びのことで思い悩んでいたというほどでもありません。ですから主人の言葉を聞いたときは「え、今さら?」と思いました。

それから大人の矯正歯科治療ってどんなものかしらとインターネットで調べたのですが、年齢の高い人の症例はあまり出てこなくて。矯正歯科医の「何歳になっても治療はできる」という言葉はありましたが、何歳っていくつだろう? と(笑)。それで、まずは口コミを参考に、通いやすい矯正歯科に相談に行ってみることにしました。

矯正歯科に行ってみて、いかがでしたか?

新しい発見がありました。私はそれまで歯のガタつきしか気にしていませんでしたが、先生に、咬み合わせもずれていると言われて。噛むことに支障はありませんでしたが、そうなんだと驚きましたね。

あと、これはブレースをつける前に抜歯をしたときのことですが、抜いた歯の両側の歯に初期むし歯があったのも驚きでした。自分では歯磨きをしっかりしていたつもりだったので。それからブレースをつけての治療中には、安息時の舌の位置が通常より下がっていることも指摘されました。この状態だと歯並びを治しても、またもとに戻りやすいからと、今、舌の癖を治すトレーニングもしています。

ブレースをつける前には5本の抜歯もされたのですね。
治療を始めるにあたって不安な点などはありましたか?

大会賞『背中を押してもらって』
大会賞『背中を押してもらって』

ブレースをつけてむし歯にならないかとか、5本の歯を一度に抜くのが怖いからどうしたらいいかとか、当初はいろいろありましたが、そのつど先生に相談し、先生もとことん話を聞いてくださったので、一つ一つ自分で納得したうえで進んでいけました。

矯正歯科治療について、改めて今どんなふうに思いますか?

矯正歯科治療について、改めて今どんなふうに思いますか?

最初は、ガタつきさえ治ればいいので、部分矯正でも構わないと思っていたのですが、さっきお話ししたように咬み合わせに問題があることがわかり、全部の歯にブレースをつけての治療になりました。結果として、その選択はとてもよかったと思っています。本格的な治療をしたからこそ気づけたことがたくさんありましたから。歯並びが悪いまま年齢を重ねていたら、大変なことになっただろうなと思います。

今は治療を始めて丸3年経ち、ブレースにも慣れ、硬い食べものでも噛み切ることができます。ただ、食事ではブレースに引っかかりやすいパスタは避けています。治療が終わったら、友達とゆっくりパスタランチを楽しみたいですね。

最後に……

「ブレスマ」はこれからも毎年開催され、今年の6月からは第20回目の応募が始まります。今、治療中の方も、これから治療を始める方も、矯正歯科治療の素敵な記念に、ぜひ「ブレスマ」をご活用ください!

「ブレスマ」に関する詳細は、矯正歯科医会の公式サイトをご覧ください。

※受賞者の年齢は作品応募時のものです。

歯と歯並びのニューズレターvol.14

「歯と歯並びのニューズレターVol.14」PDFデータはこちらから取得できます。

院内に掲示したり、患者さんやお知り合いの一般歯科へ配布したりするなどしてご活用下さい。

歯と歯並びのニューズレターVol.14

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会のお知らせ (再)

2024(令和6)年4月25日

会員各位

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会

 会長     陶山  肇

日本臨床矯正歯科医会2024年度通常総会・6月例会のお知らせ (再)

拝啓

陽春の候、皆様におかれましてはお健やかにご活躍のことと存じます。

さて、日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会を2024年6月12日(水)13日(木)に、大阪ガーデンパレスにて開催いたします。例会では会員の皆様に有益な情報や体験を得ていただけるように配慮したプログラムになっておりますので、是非皆さまでご参加いただきますようお願いいたします。

敬具

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6年度通常総会・6月例会 開催要項

 

開催日:2024(令和6)年6月12日(水)・13日(木)

12日(水)12時50分より受付開始の予定

 

会場:大阪ガーデンパレス   〒532-0003 大阪市淀川区西宮原1-3-35

TEL:06-6396-6211(代)

https://www.hotelgp-osaka.com/

 

メイン会場   2階「桜・桐」     症例展示会場  2階「桜・桐」

スタッフ会場 2階「松」       懇親会        2階「松」

 

交通アクセス:新大阪駅から無料シャトルバスで3分。新大阪駅北口から徒歩10分

シャトルバスご利用の際には下記の案内をご利用ください

https://www.hotelgp-osaka.com/access/

 

※2022年に開催した会場とは異なります

 

 大会参加費:事前申込み2024(令和6)年6月3日(月)17:00まで

事前/当日

正会員:                         無料

準会員:                   6,000円/ 7,000円

会員家族(歯科医師)・勤務医:                     5,000円/ 6,000円

会員診療所スタッフ(スタッフプログラム):     6,000円/ 7,000円

会員外大学関係者:                                5,000円/ 6,000円

会員外(今後入会を考えているもの):             15,000円/16,000円

懇親会:                    8,000円/ 9,000円

プログラム集(当日購入):                  500円

 

  • 申込時の注意事項

63日(月)1700が締め切りですので、期限までに下記ウェブサイトにてお申し込みください。また、参加費の振り込みがない場合でも、名札作成のため必ずお申し込みください。

*参加申し込み方法はウェブサイトからの申し込みとなります。ウェブサイトからのお申し込みが困難な場合には、下記の問い合わせ先までご連絡ください。

 

以下のウェブサイトからお申込みください。

http://www.kokuhoken.or.jp/form/jpao/reikai/

   

*上記ウェブサイトでは参加申込と参加費の決済を合わせて行うことができます。

 

 2024(令和6)度通常総会・6月例会 参加申込に関するお問い合わせ先

〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9  Tel:03-3947-8761/Fax:03-3947-8873

財)口腔保健協会 コンベンション事業部内 日本臨床矯正歯科医会事務局

 

日本臨床矯正歯科医会 2024(令和6)度通常総会・6月例会 プログラム

  • 受   付       1日目12時50分~
  • 開 会 式          13時20分~13:30
  • 通 常 総 会        13時30分~
  • 新会員紹介(渉外委員会)  会員協議会終了後

 

  • 学術委員会プログラム1

隣接医学講演「小児歯科医の視点から見た早期矯正歯科治療とその限界」

石谷徳人先生(いしたに小児・矯正歯科クリニック)

  • 学術委員会プログラム2

アンコール賞受賞者発表

「口唇口蓋形成術のみを受けた中高年の両側性唇顎口蓋裂症例」

大澤雅樹会員(中四国支部)

 

「Angle classⅡDiv.1,下顎後退,過蓋咬合及び左側鋏状咬合症例」

犬童寛治会員(九州支部)

 

  • 研究倫理審査委員会プログラム

「研究倫理審査を受けるにあたっての注意点について」

横田俊明会員(学術委員会)

 

  • 社会医療委員会プログラム

「アライナー矯正治療で見落としやすい間違った矯正治療のゴール」

藤山光治会員(社会医療委員会)

 

  • 編集委員会プログラム

「「投稿の手引き」および「投稿要領」の改訂のお知らせ」

石川剛会員(編集委員会)

 

  • 医療管理委員会プログラム1

「医療機関のサイバーリスクの現状とその対策について」

白川靖博様(東京海上日動火災保険株式会社 医療・福祉法人部 営業第二チーム)

 

  • 医療管理委員会プログラム2

「2023 JpAO サーベイ」

岩村博満会員(医療管理委員会)

 

  • 広報委員会プログラム1

「患者説明用ツールの現状と今後について」

藤田昌樹会員(広報委員会)

 

  • 広報委員会プログラム2

「第20回ブレーススマイルコンテストへ向けて」

清水唯行会員(広報委員会)

 

  • スタッフプログラム1 (会場:2階「松」)

「はじめてのNISA、iDeCo」

久保朋子先生(金融・証券インストラクター)

 

  • スタッフプログラム2 (会場:2階「松」)

「良好なコミュニケーションのための“スマイルトレーニング”」

舩木純三先生(神奈川支部)

 

  • 症例展示 (会場:2階「桜・桐」)
  • 懇親会  (会場:2階「松」)
  • 新会員オリエンテーション (会場:4階「401会議室」) 対象:新会員
  • 支部長会         (会場:4階「401会議室」) 対象:各支部支部長または副支部長
  • 大会連絡会 (会場:4階「401会議室」) 2日目閉会式終了後
  • 第52回日本臨床矯正歯科医会大会・京都大会案内(近畿北陸支部)
  • 閉 会 式

 

矯正歯科医会HPにも随時情報を掲載していきますので、ご確認ください。

 

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会 日程表

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会 日程表

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会のお知らせ

2024(令和6)年3月30日

会員各位

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会

会 長   陶山 肇

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会のお知ら

拝啓

早春の候、皆様におかれましてはお健やかにご活躍のことと存じます。

さて、日本臨床矯正歯科医会2024年度通常総会・6月例会を2024(令和6)年6月12日(水)・13日(木)に、大阪ガーデンパレスにて開催いたします。例会では会員の皆様に有益な情報や体験を得ていただけるように配慮したプログラムになっておりますので、是非ご参加いただきますようお願いいたします。

敬具

日本臨床矯正歯科医会2024(令和6)年度通常総会・6月例会開催要項

開催日:2024(令和6)年6月12日(水)・13日(木)

12日(水)12時50分より受付開始の予定

会場:  大阪ガーデンパレス(大阪)   〒532-0003 大阪市淀川区西宮原1-3-35

TEL:06-6396-6211(代)

https://www.hotelgp-osaka.com/

メイン会場 2階「桜・桐」   症例展示会場  2階「桜・桐」

スタッフ会場 2階「松」     懇親会 2階「松」

交通アクセス:新大阪駅から無料シャトルバスで3分。新大阪駅北口から徒歩10分

シャトルバスご利用の際には下記の案内をご利用ください

https://www.hotelgp-osaka.com/access/

※2022年に開催した会場とは異なります

 

 大会参加費:事前申込み2024(令和6)年6月3日(月)17:00まで

事前/当日

正会員:                            無料

準会員:                  6,000円/ 7,000円

会員家族(歯科医師)・勤務医:                               5,000円/ 6,000円

会員診療所スタッフ(スタッフプログラム):          6,000円/ 7,000円

会員外大学関係者:                                             5,000円/ 6,000円

会員外(今後入会を考えているもの):                 15,000円/16,000円

懇親会:                    8,000円/  9,000円

プログラム集(当日購入):                 500円

  • 申込時の注意事項

63日(月)1700が締め切りですので、期限までに下記ウェブサイトにてお申し込みください。また、参加費の振り込みがない場合でも、名札作成のため必ずお申し込みください。

*参加申し込み方法はウェブサイトからの申し込みとなります。ウェブサイトからのお申し込みが困難な場合には、下記の問い合わせ先までご連絡ください。

 

以下のウェブサイトからお申込みください。

http://www.kokuhoken.or.jp/form/jpao/reikai/

   

*上記ウェブサイトでは参加申込と参加費の決済を合わせて行うことができます。

 

 2024(令和6)年度通常総会・6月例会 参加申込に関するお問い合わせ先

〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9  Tel:03-3947-8761/Fax:03-3947-8873

財)口腔保健協会 コンベンション事業部内 日本臨床矯正歯科医会事務局

 

日本臨床矯正歯科医会 2024(令和6)年度通常総会・6月例会 プログラム

  • 受   付       1日目     12時50分~

2日目      9時00分~

  • 開 会 式             13時20分~13:30分
  • 通 常 総 会                13時30分~
  • 新会員紹介(渉外委員会)       会員協議会終了後

 

  • 学術委員会プログラム1

隣接医学講演「小児歯科医の視点から見た早期矯正歯科治療とその限界」

石谷徳人先生(いしたに小児・矯正歯科クリニック)

  • 学術委員会プログラム2

アンコール賞受賞者発表

「口唇口蓋形成術のみを受けた中高年の両側性唇顎口蓋裂症例」

大澤雅樹会員(中四国支部)

「Angle classⅡ、1類上顎前突(下顎後退型)」

犬童寛治会員(九州支部)

  • 研究倫理審査委員会プログラム

「研究倫理審査を受けるにあたっての注意点について」

横田俊明会員(学術委員会)

  • 社会医療委員会プログラム

「アライナー矯正治療で見落としやすい間違った矯正治療のゴール」

藤山光治会員

  • 編集委員会プログラム

「「投稿の手引き」および「投稿要領」の改訂のお知らせ」

石川 剛会員(編集委員会)

  • 医療管理委員会プログラム1

「医療機関のサイバーリスクの現状とその対策について」

白川靖博様(東京海上日動火災保険株式会社 医療・福祉法人部 営業第二チーム)

  • 医療管理委員会プログラム2

「2023 JpAO サーベイ」

岩村博満会員(医療管理委員会)

  • 広報委員会プログラム1

「患者説明用ツールの検討 ブックレットとMOOK本を比較して」

藤田昌樹会員(広報委員会)

  • 広報委員会プログラム2

「第20回ブレーススマイルコンテストへ向けて」

  清水唯行会員(広報委員会)

  • スタッフプログラム1 (会場:2階「松」)

「はじめてのNISA、iDeCo」

 久保朋子先生(金融・証券インストラクター)

  • スタッフプログラム2 (会場:2階「松」)

「良好なコミュニケーションのための“スマイルトレーニング”」

 舩木純三先生(神奈川支部)

  • 症例展示 (会場:2階「桜・桐」)
  • 懇親会  (会場:2階「松」)
  • 新会員オリエンテーション (会場:4階「401会議室」)対象:新会員
  • 支部長会         (会場:4階「401会議室」)対象:各支部支部長または副支部長
  • 大会連絡会 (会場:4階「401会議室」) 2日目閉会式終了後
  • 第52回日本臨床矯正歯科医会大会・京都大会案内(近畿北陸支部)
  • 閉 会 式

 

 

第51回日本矯正歯科医会大会・長野大会_Web用.pdf

第51回日本矯正歯科医会大会・長野大会_Web用

第19回ブレーススマイルコンテスト受賞作品発表

第19回ブレーススマイルコンテスト受賞作品発表

~“最優秀賞”は、三重県在住の大川 浩子さん、愛知県在住の梶川 慶人さんの2作品に決定!~

矯正歯科治療中の方を対象とした笑顔のフォトコンテスト「第 19回ブレース スマイル コンテスト」の受賞作品を決定しました。
今回は「素敵な笑顔にまっしぐら!」をテーマに作品を募集した結果、全国の6歳から82歳までの幅広い年齢層から359作品とたくさんの応募を頂きました。第1次選考、第2次選考と厳正な審査の結果、一般部門の「最優秀賞」に輝いたのは三重県在住の大川 浩子さん(62歳)の『矯正治療に年齢は関係ない!』、12歳以下のキッズ部門の「最優秀賞」は愛知県在住の梶川 慶人さん(10歳)の『暑さにも負けない笑顔!』に決定いたしました。
また「大会賞」には長野県在住の平林 よし子さん(61歳)の『背中を押してもらって』が選ばれました。

最優秀賞(一般部門、キッズ部)、大会賞は2024年2月21日(水)、第 51 回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会内にて開催する表彰式にて表彰する予定です。

 

一般部門 最優秀賞『矯正治療に年齢は関係ない!』
大川 浩子さん(三重県在住)

【応募コメント】
私の歯並びはリアス式海岸のようなガチャガチャの歯並びでした。ウララ矯正歯科クリニックの杉村院長のお勧めで矯正治療を始めました。キャンピングカーに乗って日本全国お片付け1人旅を120歳まで頑張るぞぉ~!

 

キッズ部門 最優秀賞『暑さにも負けない笑顔!』
梶川 慶人 さん(愛知県在住)

【応募コメント】

痛みに弱い息子。ブレースがつく事で大好きなサッカーの負担にならないかな、痛くて嫌にならないかな、と不安の中始めた矯正でしたが、(親の心配をよそに)サッカー中もこの笑顔!まだ矯正を始めたばかりですが、キレイな歯並びに一歩一歩近づいていく姿を本人も嬉しそうに眺めています!猛暑の中、サッカーフェスティバルで優勝した時の笑顔溢れる思い出の1枚。

 

大会賞『背中を押してもらって』
平林 よし子さん(長野県在住)

【応募コメント】

還暦を迎える少し手前。仕事も辞め、時間もある事だから『おもいっきり笑って人生楽しむ為』『歯周病リスクを減らして健康でいる為』に主人より矯正の提案をされました。正直年齢的に、矯正するべきなのか心配は大きかったです。5本の抜歯も決断が中々つかず、様子を見ながらの治療でした。ようやく歯並びが整ってきた今「矯正を始めて良かった」と心から思います。矯正が終わったらたくさん食べ歩きをして、今まで大きな口を開けるのが恥ずかしくてトライできなかったコーラスも始めてみようかなと思います。矯正を薦めてくれた主人には、心から感謝です。ありがとう。

歯と歯並びのニューズレターvol.13

「歯と歯並びのニューズレターVol.13」PDFデータはこちらから取得できます。

院内に掲示したり、患者さんやお知り合いの一般歯科へ配布したりするなどしてご活用下さい。

歯と歯並びのニューズレターVol.13

第51回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会 開催および大会参加募集のお知らせ

2023年11月吉日

会員各位

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会

会 長    陶山 肇

大会長  内田 春生

 

51回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会 開催および大会参加募集のお知らせ

 

拝啓

向寒の候、皆さまに於かれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。

さて、第51回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会を下記日程にて開催いたします。

2023年度臨時総会と共に『人生100年時代に向けて 矯正歯科医の出来ること-Orthodontics and rising life expectancy-』をテーマとした臨床セミナーを初め、スタッフセミナー、アンコール賞発表、海外招待講演、ブレーススマイルコンテスト表彰式、日本歯科矯正器材協議会による商社プレゼンテーションなど多彩なプログラムを用意しました。また、スタッフプログラムにおいては講演に加え、ラウンド・テーブル・ディスカッションも企画しております。

大会に参加される諸兄には、ホスト役の甲信越支部が一丸となって準備を進めておりますので、ご家族、スタッフの方も合わせて是非長野市にご参集下さい。ご参加の程よろしくお願いいたします。

敬具

第51回 日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会 開催要項

 

■ 大会テーマ:『人生100年時代に向けて 矯正歯科医の出来ること

-Orthodontics and rising life expectancy-』

■ 大 会 長  :内田 春生

■ 開 催 日  :2024年  2月21日(水)10:00〜17:10  (懇親会18:30~20:30)        2月22日(木) 9:30〜16:50

※ 多少時間が前後することがあります

■ 会場:ホテルメトロポリタン長野

住所:〒380-0824 長野県長野市南石堂町1346

TEL:026-291-7000   FAX:026-291-7007

https://nagano.metropolitan.jp/

※会場へのアクセス等はホームページにてご確認ください。

 

■ 主なプログラム

1. 臨床セミナー1(支部企画) 2月22日(木)9:30~11:30  (担当 甲信越支部)

人生100年時代に向けて 矯正歯科医の出来ること~

『ナチュラルヒストリーから見た咬合の問題-人生100年時代に向けて 矯正歯科医に臨むこと』

谷口威夫 先生(谷口歯科医院(長野市))

『正しい機能に基づいた矯正歯科治療』

内田春生 大会長(甲信越支部)

 

2. 臨床セミナー2(学術企画) 2月22日(木)13:30~15:30  (担当 学術委員会)

『歯科矯正の臨床に関連した口腔外科』

伊藤 耕 先生(埼玉医科大学病院 歯科・口腔外科 准教授)

『人生100年時代における矯正歯科の役割』

府川俊彦 会員(神奈川支部)

 

3. 招待講演  2月21日(水)15:50~16:30、16:30~17:10 (担当 渉外委員会)

『Orthodontics, an essential part of total patient care』

Dr. Kuo-Chiang Chen (陳 國強) (Taiwan Orthodontic Society TOS)

『矯正歯科治療開始のタイミングについての心思』

Dr. Koh Bumyeon  (高 範淵) (Korean Society of Orthodontists KSO)

 

4. アンコール賞表彰者発表 2月22日(木)15:40~16:40 (担当 学術委員会)

『上顎骨劣成長ならびに下顎左方偏位を伴う反対咬合症例』

下田哲也 会員(九州支部)

『歯科矯正用アンカースクリューを用いた上下顎歯列狭窄による上下顎前歯部叢生を伴う成人の骨格性上顎前突症例』

安香譲治 会員(東京支部)

『骨格性上顎前突症例』

山片重徳 会員(近畿北陸支部)

 

5. 学術展示・症例展示・日矯認定医更新用症例報告

 

6. 日矯からのお知らせ

真野樹子 先生 (公益社団法人 日本矯正歯科学会 認定医委員会)

2月22日(木) 13:10~13:25

 

タッフプログラム(会員診療所のスタッフの方対象)(担当 医療管理委員会)

 

7. スタッフプログラム1

『同一症例が稀な矯正歯科治療は、海図なき航海?-自分は変わると思い込んだ患者の声-』

関根眞一先生(浅井企画)   2月 21日(水)10:30~12:00

 

8. スタッフプログラム2 『矯正歯科スタッフの知りたいクリエイティブについて』

中村航先生(ステキコンテンツ合同会社) 2月21日(水)13:10~14:40

 

9.  スタッフプログラム3 スタッフ・ラウンドテーブル・ディスカッション

2月21日(水)15:30~17:00

 

10.  商社プレゼンテーション

※参加予定者は必ず参加の欄にチェックをいれてください

※準備の都合上、会員診療所スタッフはご参加いただけません

2月21日(水)13:10~14:10   2月22日(木)11:40~12:40

 

11.   商社展示

12.ブレース スマイル コンテスト 表彰式  2月21日(水)14:50~15:20

 

13.総会・会員協議会・新会員紹介                2月21日(水)10:10~12:40

 

14.理事会・支部長会・大会連絡会

 

15.懇親会               2月21日(水)18:30~20:30

 

■ 大会参加費:

(事前申込み2024年1月24日(水)17:00まで/1月24日(水)17:00以降)

正会員:                         無料

準会員:                      6,000円/ 7,000円

会員診療所スタッフ(DH,DA,DT,その他):               6,000円/ 7,000円

会員家族(歯科医師)・勤務医:                                           5,000円/ 6,000円

会員外大学関係者:                                                           5,000円/ 6,000円

会員外:                                                                           15,000円/16,000円

■ 懇親会:                      7,000円/ 8,000円

  • 申込時の注意事項

131日(水)1700が締め切りです(124日(水)1700以降は料金が異なります)ので、期限までに下記ウェブサイトにてお申し込みください。また、参加費の振り込みがない場合でも、名札作成のため必ずお申し込みください。

*ウェブサイトからの申し込みが困難な場合には、下記の問い合わせ先までご連絡ください。

*スタッフプログラムにつきましては、会場の都合上定員に達し次第、受付を締め切りとさせていただきます。早目の申し込みをお願いいたします。

 

商社プレゼンテーションにつきましては、お弁当(無料)の準備がございますので参加予定者は必ず参加の欄にチェックをいれてください。

                                                                                         

以下のウェブサイトからお申込みください。

https://www.kokuhoken.or.jp/form/jpao/meet/

   

*上記ウェブサイトでは参加申込と参加費の決済を合わせて行うことができます。

                                                                                         

■ 第51回大会参加申込に関するお問い合わせ先

〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9  Tel:03-3947-8761/Fax:03-3947-8873

財)口腔保健協会 コンベンション事業部内 日本臨床矯正歯科医会事務局

 

vol.33 「顎矯正手術を併用する矯正歯科治療」の実際

2023年1月のプレスセミナーより中高年の矯正歯科治療 ―8020達成を目指して―

矯正歯科専門開業医の全国組織である公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(会長:陶山 肇)では、2023年5月22日(月)、メディア各社に向けて「顎矯正手術を併用する矯正歯科治療」と題したセミナーを開催しました。今回はその内容を踏まえ、同治療の実態についてご紹介します。(記事作成 2023年7月17日)取材・文:冨部志保子(編集・ライター)

矯正歯科治療+外科手術=外科的矯正治療

顎変形症とはどんなもの?

矯正歯科治療には、歯にマルチブラケット装置を装着する動的治療に外科手術を組み合わせる方法があります。それが今回のテーマである「顎矯正手術を併用する矯正歯科治療」(以下、外科的矯正治療)です。

この方法がとられるのは、患者さんが「顎変形症(がくへんけいしょう)」と診断された場合です。顎変形症とは、上下の顎の骨の大きさ、形、位置のバランス異常による顔の変形と咬み合わせの異常(不正咬合)がある状態をいいます。

顎変形症になる原因は様々あり、遺伝などの先天的な要因のほか、ケガや指しゃぶり、口呼吸など後天的な要因も少なくないとされています。多くの場合、幼少期にははっきりとした異常は現れず、顎が急成長する思春期の時期に症状が明らかになります。

顎変形症では「前歯でものを噛み切る」という歯本来の機能が損なわれていることが多く、さらに骨格の不調和によって顔が曲がる、顎がしゃくれる、顎がないなど、見た目のコンプレックスにもつながりがちです。

顎変形症の主なパターン

まず、顎変形症の代表的な症例をご紹介しましょう。

骨格性下顎前突

骨格性下顎前突(こっかくせいかがくぜんとつ)

左は、下顎が大きく前に出て上顎が後ろに下がった「骨格性下顎前突」といわれるケースです。この方の場合、オトガイ(下顎の先)が前突していて、上下の前歯は受け口(反対咬合)になっています。

正常咬合
正常咬合
反対咬合
反対咬合
骨格性の変形を伴う反対咬合
骨格性の変形を伴う反対咬合

上の3枚の写真のうち左が正常な咬合で、中央と右が反対咬合(受け口)です。中央のように上下の歯の被さり方だけが逆の反対咬合は矯正歯科治療のみで歯の向きや位置を改善することで正常咬合を獲得することが可能ですが、右のように顎骨に変形があり、上下の歯の位置関係の不調和が大きすぎる場合は、顎骨の位置や大きさを改善する外科的矯正治療が必要となります。

このほか、顎変形症には「骨格性上顎前突(上顎が著しく前方にある、あるいは下顎が著しく後退していることによる出っ歯)」や「顔面非対称(顔が左右のどちらかに曲がった状態)」、「骨格性開咬(上顎に対して下顎が著しく後下方に位置していることで上下の前歯に垂直的な隙間がある状態)」などがあります。

口腔外科とのチーム医療で進む外科的矯正治療

外科的矯正治療は、矯正歯科と口腔外科(もしくは形成外科)とのチーム医療となります。また、外科手術によって上下の顎を生理学的にもっともよい位置に動かすことを前提に、術前と術後に矯正歯科治療を行うなど、通常の矯正歯科治療とは治療の流れが異なります。

外科的矯正治療の流れ※グリーンが矯正歯科、オレンジが口腔外科(もしくは形成外科)、オレンジの縁取りが両科を受診しての検査・処置となります。

1診察・検査・診断

診察・検査・診断

矯正歯科で精密検査を行います。正面・側面からのセファログラム(頭部X線規格写真)(※)を用いて、上下顎のずれや口腔内および顔貌の状態を総合的に分析します。※顔面と頭部のX線画像のこと。診断を正しく下すために必要不可欠な検査で、上下顎の大きさやずれ、顎や唇の形態、歯の傾斜、口もとのバランスなどの状態を正確に知ることができます。

2治療計画・カンファレンス

矯正歯科での診察・検査・診断を経て、矯正歯科医が矯正歯科治療だけでの改善が難しいと判断した場合、外科的矯正治療の適応となります。この段階で矯正歯科と口腔外科(あるいは形成外科)が合同カンファレンスをもち、治療計画の相談やすりあわせを行います。

3術前矯正治療(約1年半)

手術によって目標とする咬み合わせが得られるように、矯正歯科でマルチブラケット装置を装着して歯列のデコボコの改善や上下前歯の傾斜の補正、上下歯列の幅の調整を行います。なお、手術による顎移動を視野にいれた矯正歯科治療のため、この段階では一時的に咬み合わせが悪くなり、噛みにくくなります。

初診時初診時
初診時
手術直前手術直前
手術直前
術後矯正治療終了時術後矯正治療終了時
術後矯正治療終了時

※術後の良好な咬み合わせを目指すため、手術直前は一時的に咬み合わせが悪くなり、噛みにくくなる。

4術直前カンファレンス・手術前検査

矯正歯科と口腔外科(もしくは形成外科)で術前の綿密な打ち合わせを行い、顎の移動位置を決定します。それに対して患者さんに確認した後、外科処置をする医療機関で術前検査(心電図、血液検査、尿検査、胸部X線検査撮影など)と自己血貯血(手術中の出血に備えて自分の血を採って貯めておくこと)などの処置を行います。

5入院・顎矯正手術(1~2週間)

手術方法や医療機関によって入院期間は異なるものの、外科処置をする医療機関に1~2週間入院し、全身麻酔で手術を行います。多くの場合、手術直後はチタンのプレートで移動した顎を固定し、顎間関係の安定を図ります。入院中の食事は流動食から全粥となります。

6術後矯正治療(約1年)

手術で移動した顎の位置で上下の咬み合わせを整えます。なお、手術の際にプレート固定を行った場合は、術後半年~1年ほどで口腔外科(もしくは形成外科)にてプレートを撤去する手術を行います(生体内に自然に吸収されるプレートを使用する医療機関もあり)。

7保定観察

咬み合わせが安定したら、矯正歯科でマルチブラケット装置を取り外し、移動した位置で歯が安定するように保定装置を用います。保定観察期間は治療前の状態や治療法などによって異なりますが、約2年は毎日保定装置を使用することになります。

外科的矯正治療には健康保険が適用される

1990年より、外科的矯正治療には健康保険が適用されることになりました。そのため、自己負担は3割となり、矯正歯科治療費は術前後を合わせて20~30万円前後。入院・手術費用は下顎のみの手術で20万円前後、上下顎の手術で30~40万円前後。つまり、健康保険適用での顎変形症治療にかかる費用は、概算で40~70万円程度となります。なお、入院と手術の費用には、高額療養費制度(※)が適用されます。

※医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。

ただし、健康保険の適用には次のような条件があります。

  • 1顎変形症と診断され、矯正歯科治療と併用して外科手術を行うこと
  • 2「顎口腔機能診断施設」の指定を受けた医療施設で矯正歯科治療を行うこと
  • 3矯正歯科治療、外科手術ともに健康保険の適用範囲内で行い、混合診療をしないこと

矯正歯科の立場からみた顎変形症治療

Case1

顎変形症(下顎前突)を矯正歯科治療のみで治したAさんの場合

治療前(22歳)

Aさん(女性)は上顎前歯が下顎前歯よりも内側に入った反対咬合でした。

右側の下顎第一大臼歯(前から6番目)が上顎第一大臼歯よりも小臼歯1本分前方にずれていて、それに伴い下顎の正中(歯列の真ん中)も左へ約1本分ずれていました。

上下とも前歯部には叢生(そうせい/デコボコ)も認められました。下顎には左右とも親知らず(第三大臼歯、前から8番目)も萌出していました。

初診時の口腔内
初診時の口腔内
初診時の顔貌

初診時の顔貌は唇からオトガイまでの下顔面が長くオトガイが突出していましたが、左右の著しい非対称は認められませんでした。

初診時の顔貌
セファログラム

セファログラムを見ると、日本人の平均的な骨格(青線)に比べ、下顎が大きく前方に位置している(赤線)ことがわかります。

治療中(22歳)

マルチブラケット装置を装着して治療を開始しました。

その際、上顎には上顎歯列の幅を拡大するために「トランスパラタルアーチ(上顎の左右大臼歯を固定する装置)」を装着。その6か月後には、下顎を効率的に後ろに移動させるため、下顎の頬側に「歯科矯正用アンカースクリュー(歯肉の上から歯槽骨にねじ込む歯科用のねじ)」を埋入しました。

治療中(22歳)

治療後(23歳)

1年7か月の動的治療を終え、マルチブラケット装置を取り外しました。

上下とも叢生のない左右対称のアーチに仕上がりました。すべての歯において上の歯が下の歯の外側に覆い被さる、正常な被蓋を獲得することができました。また下顎右側の臼歯が後方に移動したことで、上下の正中を一致させることができました。

矯正歯科治療終了時の口腔内
矯正歯科治療終了時の口腔内
矯正歯科治療終了時の顔貌とセファログラム
矯正歯科治療終了時の顔貌とセファログラム

治療前後を比べると――

治療前と比べると上下の歯列はなめらかなU字形を描くようなりました。しかし、顎骨は移動していないため、上下顎のアンバランスは改善されていません。

矯正歯科治療には、「カムフラージュ治療」というものがあります。これはその名の通り、骨格的問題はそのままにして、歯のみを動かして咬み合わせを整える治療のことです。

下顎が大きく前方にある下顎前突の場合、上顎前歯を前方に、下顎前歯を後方に傾斜させることで咬み合わせを改善しますが、下顎骨そのものの大きさを小さくしたり後退させたりすることはできません。むしろ下顎前歯が後方に傾斜することで、下唇も後退し、オトガイが目立つようになることもあります。

Aさんの場合も、オトガイの突出が強調される結果となりました。

治療前
治療前
治療後
治療後
Case2

顎変形症(下顎前突)を外科的矯正治療で治したBさんの場合

治療前(18歳)

Bさん(女性)の咬み合わせは、左側臼歯部が交叉(こうさ)咬合(上下の歯を咬み合わせたとき、上の歯の外側に下の歯が咬み合う状態)で、上下の歯列の幅にも不調和が認められました。また、もともと下顎の前歯が1本欠損した状態でした。

初診時の口腔内
初診時の口腔内
セファログラム

セファログラムを見ても、やや後退した上顎に対して下顎は著しく前に出ており(赤線)、上下顎の位置の不調和を補償するように下の前歯が内向きに傾斜しているのがわかります。
このように骨格的なずれを歯が傾きによって補償している状態を「デンタルコンペンセーション(歯性の補償)」といいます。

下顎前突

下顎前突の場合、上の前歯は前方に、下の前歯は後方に傾き、お互いに咬み合おうとします。こうしたデンタルコンペンセーションが生じることで、実際よりも不調和が軽く見える場合があります。

初診時の顔貌

顔貌は、下顎が少し左側にずれ、オトガイが突出しています。
このケースは矯正歯科治療だけで改善するには限界があります。

初診時の顔貌

そこでBさんの同意をもとに外科的矯正治療を行うことになりました。

術前矯正(19歳)

術後に歯が咬み合うように上下歯列の幅のコントロールを行うと同時に、上下の歯の角度を正しくするため、術前矯正治療では上の歯を後方に、下の歯を前方に移動させました。Bさんの場合は上顎の小臼歯を2本抜歯し、下顎はもともと欠損していた下の前歯1本分のスペースを拡げます。このスペースは矯正歯科治療終了後に補綴(ほてつ/被せものやインプラントなど)処置を施す予定です。その結果、手術前の段階では一時的に咬み合わせが悪くなり、噛みにくくなっています。

手術直前の口腔内
手術直前の口腔内
手術直前の顔貌とセファログラム
手術直前の顔貌とセファログラム

術後矯正(20歳)

手術後10日経った状態で、咬合を仕上げるための術後矯正が始まりました。

手術後10日の口腔内
手術後10日の口腔内
手術後10日の顔貌とセファログラム

手術後10日の段階では顔貌に手術の腫れがまだ残っていますが、上下歯列の前後的位置はよいバランスに収まっています。

手術後10日の顔貌とセファログラム

矯正歯科治療終了(21歳)

約1年の術後矯正を経て、マルチブラケット装置を取り外しました。上下顎のバランスがとれ、歯列がすっきりと収まっています。

矯正歯科治療終了時の口腔内
矯正歯科治療終了時の口腔内
矯正歯科治療終了時の顔貌とセファログラム

顔貌のバランスも整っています。

矯正歯科治療終了時の顔貌とセファログラム

治療前後を比べると――

顎のかたちの変化は一目瞭然。
もちろん、見た目だけではなく、外科的矯正治療によって歯槽骨上の理想的な位置に歯を並べたことで、咬み合わせが安定しました。歯や骨に負担がかからないことで、将来的な歯周病のリスク回避にも役立ちます。

初診時
初診時
顎矯正手術前
顎矯正手術前
術後矯正治療終了時
術後矯正治療終了時

顎変形症だと思った場合の受診方法

歯学部のある大学病院、公的病院、もしくは指定を受けた矯正歯科へ

では、顎変形症について相談したい、治療を受けたいと思った場合、どこに行けばよいのでしょうか?

医療施設への受診方法には次の3つがあげられます。

  • 1大学病院の矯正歯科か口腔外科を受診
  • 2公的病院の口腔外科を受診
  • 3「顎口腔機能診断施設」の指定を受けた矯正歯科医院を受診

歯学部のある大学の附属病院は矯正歯科と口腔外科が連携して治療を行っています。また口腔外科の診療を行っている大学付属病院や公的病院なら、多くの場合、矯正歯科との連携をとっているので安心です。また、地元の矯正歯科医院を最初に訪ねるなら、「顎口腔機能診断施設」の指定を受けているかどうかを確認しましょう。前述のとおり、同施設の指定を受けた矯正歯科医院で、一定の条件を満たしたうえで外科的矯正治療を行うと、健康保険の適用となります。

「顎口腔機能診断施設」の指定を受けた矯正歯科医院を自分で調べるには、各地方の厚生局のホームページが役立ちます。同ホームページには届け出を出している医療機関の一覧があり、その中の歯科のリストから「顎診」とある、通いやすい施設を探してください。

関東信越厚生局

もっと簡単に「顎口腔機能診断施設」の指定を受けた矯正歯科医院を調べるなら、公益社団法人日本臨床矯正歯科医会のホームページがおすすめです。
トップページ上部にある「会員医院検索」をクリックし、飛んだページの中程にある検索窓のプルダウンメニューから「顎口腔機能診断施設」を選んで検索ボタンを押すと、届け出をしている全国各地の267医院のリストが現れます。その中から通いやすいところを訪ねてみるとよいでしょう。

公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会

いかがでしたか? 上下顎のアンバランスを整え、その位置で咬合を改善することは長期安定する咬み合わせをつくり、噛む機能を向上させます。また、顔の変形が改善され、審美的な変化も得られることから気持ちも明るくなるでしょう。
ただし、移動できる骨の量には限界があります。

顎のゆがみが気になる人は、歯学部のある大学病院、口腔外科のある公的病院、もしくは指定を受けた矯正歯科医院を受診して相談してください。

第51回 日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会のご案内(第1報)

2023(令和5)年8月吉日

会員各位

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会

会 長 陶山 肇

第51回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会

                                      大会長 内田 春生

51 日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会のご案内(第1報)

 

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(会長:陶山肇)は、第51回大会・長野大会を2024年2月21日(水)・22日(木)の両日、長野市のホテルメトロポリタン長野にて開催致します。今大会のテーマは『人生100年時代に向けて 矯正歯科医の出来ること』です。テーマに基づいた臨床セミナー、スタッフセミナー、アンコール賞発表、ブレーススマイルコンテスト表彰式など多数のプログラムを準備しておりますので、是非長野大会にご参加の程よろしくお願いいたします。

 

開催日時:2024(令和6221()22()

会場:ホテルメトロポリタン長野

住所:〒380-0824 長野県長野市南石堂町1346

TEL:026-291-7000   FAX:026-291-7007

https://nagano.metropolitan.jp/

 

【主なプログラム】(予定)

◊ 特別講演(支部企画)

谷口威夫 先生 谷口歯科医院(長野市)

内田春生 会員 第51回大会・長野大会 大会長

◊ 臨床セミナー

府川俊彦 会員    神奈川支部

伊藤 耕 先生    埼玉医科大学病院 歯科・口腔外科 准教授

◊ 海外招待講演

◊ 会員アンコール賞発表

◊ スタッフプログラム

◊ RTD

◊ ブレーススマイルコンテスト表彰式

◊ 懇親会  2月21日(水) 夜

◊ 総会・会員協議会

◊ 症例展示、学術展示(多数のご応募をお待ちしております)

◊ 日矯認定医更新用症例報告

◊ 商社展示

◊ 商社プレゼンテーション 21日(水)・22日(木)(参加申し込みの方にはお弁当が準備されます)

 

第51回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会実行委員会

大会長:内田晴生 実行委員長:深澤裕文 事務局長:小嶋勤    会計:砂原佳子 プログラム担当:小林聡

甲信越支部一同

会長就任の挨拶

 

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会 会長
陶山 肇(すやま はじめ)

2023年7月3日

このたび公益社団法人日本臨床矯正歯科医会第25代会長を拝命致しました。

本会は、1973年に発足し、第50回記念日本臨床矯正歯科医会大会・九州大会を2023年2月21〜22日に福岡にて盛大に迎えることができました。これまで長きに渡り支えてくださいました国民の皆様をはじめ関係各位に、厚く御礼申し上げます。

本会の矯正歯科臨床における50年におよぶ数々の業績および会員同士の繋がりは我々にとって大きな財産です。この財産を次の50年に繋げ、かつより発展させて行くことが今期執行部にとっての重要な課題だと考えています。

安心安全な医療を国民に提供し、健康増進およびQuality of Lifeの向上にも貢献すべく、自己研鑽に努めると同時に多くの公益事業にも力をいれていきたいと思います。また、矯正歯科に関する国民を惑わすような情報にも注意を払い、信頼おける情報の発信を行なっていきたいと考えています。

矯正界をとりまく状況は年々変化をしています。医療としての本道を忘れることなく、変化の多い情勢にも順応しながら、多くの会員が志を一つに、本会がより発展していくよう努力していきたいと思います。

【略歴】

1954年 北九州市小倉生まれ(68歳)すぐに宮崎へ
1979年 福岡歯科大学卒業
1979年 九州大学歯学部矯正科にて研修
1984年 陶山はじめ矯正歯科医院開業(宮崎県宮崎市)
2023年 医療法人かがやき 陶山矯正歯科医院開設

【現在】
医療法人かがやき 陶山矯正歯科医院 理事長
九州矯正歯科学会理事(国際渉外)
台湾矯正歯科学会(TAO,TOS)名誉会員

 

令和5年度事業計画

令和5年度事業計画

日本臨床矯正歯科医会令和5〈2023〉年度 6月例会のお知らせ

日本臨床矯正歯科医会令和5〈2023〉年度 6月例会のお知らせ

令和5(2023)年6月に開催する令和5年度日本臨床矯正歯科医会6月例会のご案内をさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症は終息する方向に向かいつつということで、今回は以前のように対面で開催することとしました。皆様には感染状況をご確認の上、無理のないご対応を宜しくお願いします。

東京の地で皆様にお会いできることを楽しみにしております。

 

日本臨床矯正歯科医会令和5(2023)年度6月例会開催要項

開催日:令和5(2023)年6月14日(水)・15日(木)
14日(水)12時30分より受付開始の予定

会場:ベルサール九段(東京)
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-8-10住友不動産九段ビル3・4F
TEL 03-3261-5014
https://www.bellesalle.co.jp/shisetsu/tokyo/bs_kudan

メイン会場         3F A+B会場
症例展示会場        3F    B会場(メイン会場の後方部分)
スタッフプログラム会場 3F ROOM1+2
懇親会          3F ROOM1+2

アクセス

「九段下駅」7番出口  徒歩3分(東西線)
「九段下駅」5番出口  徒歩3分(半蔵門線、新宿線)
「飯田橋駅」東口    徒歩10分(JR線)
「水道橋駅」A2出口   徒歩10分(三田線)

■ 大会参加費:
正会員・会員家族(歯科医師以外):           無料
準会員:                                                         7,000円
会員家族(歯科医師)・会員診療所勤務医:        6,000円
会員診療所スタッフ(スタッフプログラム):          4,000円
懇親会費                        7,000円
プログラム集(当日購入):                                 500円

 

*参加申し込み方法はウェブサイトからの申し込みとなります。ウェブサイトからのお申し込みが困難な場合には、下記の問い合わせ先までご連絡ください。

以下のウェブサイトからお申込みください。
http://www.kokuhoken.or.jp/form/jpao/reikai/

*上記ウェブサイトでは参加申込と参加費の決済を合わせて行うことができます。

■日本矯正歯科学会研修ポイントについて
日本矯正歯科学会の認定医研修ポイントについては, 日本矯正歯科学会のIDカードで機械・事務処理を行いますので,必ずIDカードをご持参の上,「認定医研修ポイント登録受付」にてポイントの登録を行ってください。

■ 令和4(2022)年度通常総会・6月例会 参加申込に関するお問い合わせ先
〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9  Tel:03-3947-8761/Fax:03-3947-8873
(一財)口腔保健協会 コンベンション事業部内 日本臨床矯正歯科医会事務局

 

日本臨床矯正歯科医会 令和5(2023)年度通常総会・6月例会 プログラム

  • 受   付         1日目12時30分頃を予定
  • 開 会 式         1日目13時からを予定
  • 通常総会(会員のみ参加可) 1日目13時10分からを予定
  • 新会員紹介(渉外委員会)  総会終了後を予定
  • 隣接医学講演
    『歯周病について〜現代の基礎知識と歯科矯正治療と の関わりに着目して〜』
       髙橋 潤一 先生(汐留高橋歯科医院)
  • スタッフプログラム1  (医療管理委員会)
     『矯正治療中の“セルフケアをラクにする”トリートメントケア』
       服部 あずさ 先生(株式会社オーラルケア)
  • スタッフプログラム2  (医療管理委員会)
     『行動科学に基づいたセルフケア用具の選択とフッ化物の効果的な使い方』
       高柳 篤史 先生(高柳歯科医院)
  • アンコール賞受賞者発表

    1.『青年期における下顎第二大臼歯萌出障害に関する顎顔面形態の特徴』
     横田 俊明(学術委員会)
    2.『非抜歯にて治療を行ったAngle ClassⅡ Div.2 叢生症例』
     花岡健太郎(九州支部)
    3.『口蓋扁桃肥大を伴うハイアングル上下顎前突症例』
      高橋 滋樹(神奈川支部)

  • 委員会プログラム

   〇医療管理委員会プログラム
    『治療継続支援ガイドブックの紹介』           深井統久(医療管理担当理事)

   〇社会医療委員会プログラム1
    『「矯正歯科何でも相談」から矯正歯科界の現状を考える』 村田 直久(社会医療委員会委員長)

   〇社会医療委員会プログラム2
    『プロボノ事業の進捗状況についてのご報告』       安永 敦 (社会医療担当理事)

   〇社会医療委員会プログラム3
    『保険診療について‐日本矯正歯科学会医療問題検討委員会からの報告‐』
                       中納 治久(昭和大学歯学部 歯科矯正学講座 教授)

   〇広報委員会プログラム1
    『この1年の広報活動の軌跡』               阿部 純子(広報担当理事)

   〇広報委員会プログラム2
    『この10年の広報活動の軌跡と、これから』
                        喜多一美、佐藤美緒(共同ピーアール株式会社)

  • 症例展示 (会場:メイン会場 後方)
  • 懇親会  (会場:3F Room1+2)
  • 新会員オリエンテーション(会場:メイン会場)2日目昼に予定(対象 新会員)
  • 第51回日本臨床矯正歯科医会大会・長野大会案内(甲信越支部)
  • 閉 会 式     15:30頃 終了予定

 

vol.32 3年ぶりの対面表彰式を福岡にて開催!「第18回ブレーススマイルコンテスト」表彰式レポート

3年ぶりの対面表彰式を福岡にて開催!「第18回ブレーススマイルコンテスト」表彰式レポート

矯正装置(ブレース)をつけて治療をしている患者さんの笑顔を募集する写真コンテスト「ブレーススマイルコンテスト」(主催:公益社団法人日本臨床矯正歯科医会/会長 野村泰世)の表彰式が、2023年2月22日(木)「グランド ハイアット 福岡」にて開催されました。2005年に始まった本コンテストも今回で第18回目。3年ぶりのリアル開催となった表彰式の様子を、受賞者へのインタビューなどを交えながらご紹介します。(記事作成 2023年3月26日)取材・文:冨部志保子(編集・ライター)

近年最多の応募数!全国から集まった394点の輝くブレーススマイルズ

マスク中だから気づかれない→ブレースをつけて堂々と!

日常生活にマスクが定着したここ数年、かねてから気になっていた歯並びや咬み合わせを改善したいと、矯正歯科治療を受ける人が増えています。その最初の想いは「マスク生活でブレースをつけていることに気づかれないから」。それが治療を続ける中で歯並びや咬み合わせが整ってくると、多くの患者さんは「うれしくて笑顔が増える」ようになり、やがて「だんだん整っていく自分の口もとを見てほしい!」というポジティブな想いへと変わっていきます。いうなれば、ブレースは自分らしく輝いて生きるための意識のあらわれのようなもの。治療を通して、ブレースは隠すものではなく、堂々と見せて笑顔になっていいのだという発想の転換が起こるのです。2005年から回を重ねてきた「ブレーススマイルコンテスト(以下、ブレスマ)」は、そうした治療中の”ポジティブな変化”を写真で表現するコンテストです。2022年夏に作品募集を行った今回の「第18回ブレスマ」には、全国の5歳から60歳の幅広い年齢層の方から394作品もの応募がありました。この数字は、ここ数年間のNo.1。しかも、今回は主催する公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)に所属する会員以外の診療所や病院で治療を受けている患者さんからの応募が多く、全作品中128作品にのぼることから、社会の中で「ブレスマ」が定着してきたことがうかがわれます。

第18回の応募チラシ

第18回の応募チラシ。歯科診療所などでこのチラシを受け取って応募した人も多いはず

「第18回ブレスマ」の選考の舞台裏をご紹介!

そうして集まった作品の中から、受賞作品はどうやって決まるのでしょうか?事務局に寄せられた応募作品は、毎回、一次・二次という2回の審査で選考されます。今回、一次審査が開催されたのは、2022年9月15日。長机の上いっぱいに応募作品と応募コメントを並べ、それを矯正歯科医会の担当者や関係団体の代表者らが1点ずつ丁寧に目を通したうえで、入選12作品に絞られました。どの作品も魅力的なため、この作業は毎年楽しくもあり、悩ましくもある時間。すべての作品に目を通していると、時間があっという間に過ぎていきます。特に今回は審査の後、「写真の質が高いので、最優秀・優秀・大会賞以外の賞を設けては?」など、集まった審査員の方々から今後の「ブレスマ」についての前向きな意見がたくさん出されたのが印象的でした。その後、秋に開催された日本矯正歯科学会の会場と矯正歯科医会のホームページ上で実施された投票形式による二次審査を行い、今回の受賞作品が決定しました。

「写真の質が高いので選ぶのが楽しい」との声もあがった一次審査
「写真の質が高いので選ぶのが楽しい」との声もあがった一次審査

改めてご紹介しましょう。「第18回ブレスマ」の応募テーマは、「さあ、笑顔を解き放とう!」。選考ポイントの一つは未来に向けるウキウキ気分をいかにその人らしく表現しているか、でした。このテーマのもと最優秀賞に輝いたのは、兵庫県在住の田中雲雀(ひばり)さん(16歳)の「押忍」です。そして「優秀賞」には、埼玉県在住の我妻ゆきのさん(24歳)の「私の夏休み〜2022〜」が、「大会賞」には福岡県在住の佐藤真夕さん(16歳)の「GROW UP!」が選ばれました。

最優秀賞最優秀賞『押忍』田中雲雀さん(兵庫県在住)

田中雲雀さん(兵庫県在住)

【応募コメント】

歯並びと少し出っ歯な所が気になり矯正歯科医院を紹介してもらい治療中です。装置を取り付けた時は少し痛かったけど、少しずつ歯並びが良くなっていくのが目に見えてわかるので仕上がりが楽しみです。

優秀賞優秀賞 受賞作品『私の夏休み〜2022〜』我妻ゆきのさん(埼玉県在住)

優秀賞 受賞作品『私の夏休み〜2022〜』我妻ゆきのさん(埼玉県在住)

【応募コメント】

この夏、行動制限が無くなり旅行先で夏らしいことをたくさんしました♪ 矯正をはじめる前は口元を気にして隠して笑っていましたが、今は綺麗に並んできたので思いっきり笑うことができて嬉しいです!

大会賞大会賞『GROW UP!』 佐藤真夕さん(福岡県在住)

大会賞『GROW UP!』佐藤真夕さん(福岡県在住)

【応募コメント】

誕生日が一緒の私達3つ子は、歯並びの悪さまで一緒。小学生の頃から3人一緒に治療を始めました。当時の写真をこうして眺めると、大きくなったなと実感します。高校生活を満喫して、もっと成長していきたいと思っています。

受賞作品は、どれも自分らしく日常を輝いて生きていることがまっすぐに伝わる写真ばかり。田中さん、我妻さん、佐藤さん、受賞おめでとうございました!

受賞者全員が出席し、なごやかに行われた表彰式

入念な準備のもと、いざ本番へ

受賞作品の選考が決まり、受賞者への連絡、メディアへの発表などが終わると、今度は表彰式の準備に入ります。これまで「ブレスマ」では、受賞者の皆さんを招いて表彰式を開催していました。しかし、2021年の「第16回」はコロナ禍により初の中止に。そして、翌年の「第17回」は会場に集まった関係者とオンライン形式で参加する受賞者とのハイブリッド形式での開催となっていたため、通常の表彰式は今回の「第18回」が実に3年ぶり。満を持しての開催に、関係者のテンションもいやが上にも高まります。表彰式の会場は、福岡・博多の複合施設「キャナルシティ博多」に併設する「グランドハイアット福岡」。今回も、主催する矯正歯科医会学術大会の期間中の開催となりました。晴天に恵まれた2月22日午前10時すぎ。会場であるホテルの控え室に受賞者の皆さんが続々と到着します。本番は13時20分からですが、3時間も前に集合していただくのは、すべてステージ上でのパフォーマンスを高めてもらうため。壇上のクロストーク(ミニインタビュー)を想定し、各人に矯正歯科治療についての思いをうかがい、皆で昼食をとるなどして、まずはゆっくりと過ごしていただきます。

クロストークでどんなやりとりをするかをインタビュアーと打ち合わせする受賞者の皆さん
クロストークでどんなやりとりをするかをインタビュアーと打ち合わせする受賞者の皆さん

その後、本番を想定した通しのリハーサル。司会役、花束を渡す係、壇上で受賞者をアテンドする係等々、各担当者の動きについても入念に最終チェックを行い、いよいよ本番スタートです!

受賞者の素顔がのぞいたクロストーク

挨拶する野村会長
挨拶する野村会長

表彰式の始まりは、矯正歯科医会 野村泰世会長の挨拶から。治療中に笑顔になることの大切さを説き、受賞者をたたえた後、次の「最多応募診療所」の発表へとバトンをつなぎます。

最多応募診療所とは、「ブレスマ」への応募が最も多かった会員診療所のこと。今回は、それぞれ27名の患者さんからの応募があった2軒の診療所が選ばれました。

福岡「ながやま矯正歯科クリニック」永山 哲聖先生からのコメント

「今年は主催する矯正歯科医会の発足50周年にあたる記念の年。節目の年を少しでも盛り上げたいと『ブレスマ』の声かけを熱心に行いました。その言葉を受けて患者さんが応募してくれたことに改めて感謝です」

主福岡「ながやま矯正歯科クリニック」永山 哲聖先生からのコメント

島根「出雲おおさわ矯正歯科」大澤雅樹先生からのコメント

「『治療中の最高の思い出になりますよ!』と患者さんに言葉をかけましたが、まさか当院が最多応募診療所に選ばれるとは思いませんでした。北九州の永山先生と同時に選ばれたことも光栄です」

島根「出雲おおさわ矯正歯科」大澤雅樹先生からのコメント

さて、次はいよいよ受賞者の表彰です。まずは九州大会賞に選ばれた佐藤真夕さんがステージ中央で賞状と副賞、大きな花束を主治医から受け取ります。続いて、優秀賞の我妻ゆきのさんも賞状と副賞、主治医からの花束を受け取り、素敵な笑顔を見せてくれました。

大きな花束を受け取る佐藤さん(左)と我妻さん
大きな花束を受け取る佐藤さん(左)と我妻さん

そして最後は、最優秀賞に輝いた田中雲雀さんがステージ中央に。野村会長から賞状と副賞が授与され、主治医から「おめでとう!」の言葉とともに花束が贈呈されました。

最優秀賞の田中さんも和やかな表情
最優秀賞の田中さんも和やかな表情

続くクロストークは、インタビュアーの質問に受賞者が答えていくというもの。そのやりとりから受賞者の素顔がのぞき、より親近感がわいてきます。

田中雲雀さんとのクロストークより

「応募写真は、空手の練習帰りに家の玄関で撮ったもの。母に応募したらといわれて、自然に選んだのがこのシーンです。空手の得意技は膝蹴り。将来はアクション女優になるのが夢です!」

田中雲雀さんとのクロストークより

我妻ゆきのさんとのクロストークより

「去年の夏、金沢への旅行中に撮った1枚です。現地で借りた着物がきれいだったので、小道具に頼らず、笑顔だけで勝負しようと思いました。受賞できてすごく嬉しいです」

吾妻ゆきのさんとのクロストークより

佐藤真夕さんとのクロストークより

「治療を始めたばかりの6年前の写真を持っているのが私です。こうして見ると、きょうだいの仲がよさそうですが、姉(中央)と弟(右)はケンカばっかり。猫を入れて、なんとか中和して撮った写真です!」

佐藤真夕さんとのクロストークより

舞台裏インタビュー治療への想い、将来の夢……。表彰式の前にうかがった受賞者のリアルな声をご紹介します

将来の夢に向かって、今はワクワクした気持ちです最優秀賞『押忍』 田中雲雀さん

妹の聖ちゃん(右)も同じ空手の道場に通っているのだそう
妹の聖ちゃん(右)も同じ空手の道場に通っているのだそう

空手は5歳くらいから始めて、10年以上続けています。私がやっているのは「フルコンタクト空手」といって、結構ハードな、戦う空手です。普段の練習で組む相手は小学生から大人まで年齢層が幅広く、男女も関係ありません。だからケガはしょっちゅうですが、試合で優勝できたときは達成感があり、それがやりがいになっています。受賞作品で私の後ろに写っている賞状やトロフィーは、これまでの成果の一部。なかには大きな大会のトロフィーもあるんですよ。矯正歯科治療は、6歳下の妹が先に始めていて、私も通いたいなと思いました。私はもともとちょっと出っ歯で、下の歯もガタガタしていて、それがコンプレックスで歯を見せて笑うことができませんでした。だから治療できるのは嬉しいのですが、ブレースをつけてすぐの頃は痛くてご飯が食べられず、空手にもなかなか集中できませんでした。でも、だんだん痛みにも慣れ、今では歯並びも揃ってきたのでワクワクしています!私のやっている空手では蹴り技というのがあって、顔に当たると口の中が切れたりブレースが取れたりするので、練習では技を受けないようにするのに必死です。おかげで治療を始めてから一度もあたっていません。これからも空手を続けて、きれいな歯並びになって、将来は清野菜名さんみたいなアクション女優になるのが夢です!

主治医より

雲雀ちゃんがブレースをつけて今で約1年。これから奥歯を前方に動かし、咬み合わせを整えていきます。受賞作品は最優秀賞にふさわしい素敵な写真。今回の賞をよい記念として、後半の治療も頑張っていきましょう!

コンプレックスだった歯並びに自信がつきました優秀賞『私の夏休み〜2022〜』 我妻ゆきのさん

自分の歯並びへの関心から今は歯科衛生士をしている我妻さん
自分の歯並びへの関心から今は歯科衛生士として矯正歯科医院に勤めている我妻さん

以前の歯並びは上の前歯が内側にねじれたように生えていて、高校の頃からそれがコンプレックスで、歯を見せて笑うことができませんでした。それに歯並びが悪いせいで、むし歯ができやすく、子どもの頃からよく歯医者さんに通っていました。そんな私なので、矯正歯科治療は以前から受けたかったのですが、費用が高いというイメージがあって。私は両親から「自分のことは自分でやりなさい」といわれて育ったので、社会に出て自分でお金を出せるようになった22歳から治療をスタートしました。でも、いざ始めると口内炎ができたり、ものが食べにくかったり(笑)。それでも、治したい気持ちのほうが強いので乗り越えられます。今はまだ治療中ですが、歯並びが整い、咬み合わせも安定したので、もう口もとはコンプレックスではなく、自信を持って笑顔になれます。そんな想いが今回の受賞した写真にもあらわれているのでしょうね。かつての私なら、応募写真のような笑顔には絶対になれませんでした。自然に笑えるって、とっても大きな変化だと思います。

主治医より

治療にあたって我妻さんの場合は、親知らずだけ抜歯しています。ちょうどブレースをつけたのが3年ほど前で、今はもう治療の終盤。受賞作品は我妻さんらしい華やかな笑顔が素敵ですね。

二度目の応募で受賞できて嬉しいです大会賞『GROW UP!』 佐藤真夕さん

将来は理系の大学に進み、社会に出たらものをつくる仕事がしたいと話す佐藤さん
将来は理系の大学に進み、社会に出たらものをつくる仕事がしたいと話す佐藤さん

私が手にしているは、今から6年前の、小学4年生のときの写真。きょうだい3人で一斉に矯正歯科治療を始めて2年目くらいのときです。その後、中学になっていったん装置を外し、高校1年の夏にマルチブラケットをつけた二期治療が始まりました。治療を始めた頃は自分の歯並びにまったく関心がなく、「痛いのが始まる」くらいの感覚でしたが、今はやっておいてよかったとすごく思います。歯並びが整うと横顔もきれいになるし、笑った顔にも自信が持てますから。実は、6年前にも「ブレスマ」に応募したことがあるんです。そのときは残念ながら受賞できませんでしたが、今回、昔の写真と今の写真で受賞できて嬉しいです。私たちは三つ子ですが、歯並びも性格もそれぞれ違います。きょうだいゲンカもしょっちゅうですが、こうして昔の写真を見ると3人の顔の距離が近くて仲がよさそう。今は少し間隔が空いていて、ちょっと大人になったかな(笑)。

主治医より

真夕ちゃんの受賞、とても嬉しいですね。なかなかこういう形で患者さんが評価されることはありませんし、患者さんの笑顔を見ると、矯正歯科医をしていてよかったと思います。時間の流れを感じさせる、とてもいい作品です。

最後に……

「ブレスマ」はこれからも毎年開催され、2023年の夏には第19回目の応募が始まります。今、治療中の方も、これから治療を始める方も、このコンテストへの応募を、矯正歯科治療中の思い出のひとつにしてみてはいかがでしょう。「ブレーススマイルコンテスト」に関する詳細は、日本臨床矯正歯科医会の公式サイトをご覧ください。

vol.31 中高年の矯正歯科治療 ―8020達成を目指して―

2023年1月のプレスセミナーより中高年の矯正歯科治療 ―8020達成を目指して―

矯正歯科専門開業医の全国組織である公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(会長:野村泰世)では、2023年1月23日(月)、メディア各社に向けて「中高年の矯正歯科治療 ―8020達成を目指して―」と題したセミナーを開催しました。今回はその内容を踏まえ、8020の達成と中高年の矯正歯科治療の関係性についてご紹介します。
(記事作成 2023年3月13日)取材・文:冨部志保子(編集・ライター)

不正咬合は、むし歯や歯周病の
進行を早めてしまいます

コロナ禍を機に増える大人の矯正歯科治療

新型コロナウイルス感染症の流行で日常生活にマスクが定着したのを好機に、これまで気になっていた歯並びや咬み合わせを改善したいと考える大人が増えています。

公益社団法人日本臨床矯正歯科医会(以下、本会)が会員である矯正歯科医にとったアンケート結果をみると、矯正歯科治療を開始した患者さんのうち「成人患者の占める割合が40%を超える」と回答した診療所は、2016年には24.6%でしたが、2021年には49.1%に急増していることからも、その傾向は明らかです。

全体の患者数の中で成人(18歳以上)患者さんの占める割合
公益社団法人日本臨床矯正歯科医会調べ
出典:厚生労働省「2016年歯科疾患実態調査」

歯を失うリスクを高める不正咬合

生涯、自分の歯で食事を楽しむために、厚生省(現:厚生労働省)と日本歯科医師会は 1989年から“80歳になっても20本以上自分の歯を保とう”を目標に据え、「8020(ハチ・マル・ニー・マル)運動」を推進しています。
この運動が始まって間もない1993年には8020達成者は10%弱でしたが、2016年の調査では50%超 (2人に1人)となり、現在は達成者を60%にする新たな目標が掲げられています。

歯の状況(20本以上の歯が残っている人の割合)
出典:厚生労働省「2016年歯科疾患実態調査」

ここで知っておきたいのが、どのような理由で私たちは歯を失うのか、ということです。その理由のトップ3は、「歯周病」「むし歯(う蝕)」「破折」。このうち、歯周病とむし歯が、約67%を占めています。

歯を失う原因トップ3
出典:(公財)8020推進財団「2018年第2回永久歯の抜歯原因調査」

8020達成者の中に反対咬合、開咬の人はゼロ

歯周病やむし歯になる主な原因は、食べかすや歯垢の磨き残しですが、歯並びや咬み合わせの悪さも歯を早期に失うことにつながります。U字形のアーチを描いてすべての歯が隙間なく並んだ「正常咬合」に対し、以下のような咬み合わせに問題のある「不正咬合」は歯ブラシが届きにくいだけでなく、食事や睡眠中の歯ぎしりなどで一部の歯に過剰な力や横揺れの力がかかるため、むし歯や歯周病の進行を助長してしまいます。

●「前後的な位置関係」でみる不正咬合

「前後的な位置関係」でみる不正咬合
左から、上顎前突(出っ歯)、叢生(デコボコ)、下顎前突(受け口)

●「上下的な位置関係」でみる不正咬合

「上下的な位置関係」でみる不正咬合
左から、過蓋咬合(咬み合わせが深い)、開咬(上下の前歯が咬み合わない)

なお、8020達成者と咬み合わせの関係についての調査結果からは、達成者の中には「反対咬合」や「開咬」といった不正咬合の人は一人もいないことがわかっています。

8020達成者と咬み合わせ

8020達成者と咬み合わせ
出典:「Dental Prescaleを用いた8020達成者の咬合調査」竹内史江、宮﨑晴代他 歯科学報 105(2)154-162,2005年 

中高年からの矯正歯科治療で
咬み合わせは回復できます

Case1

70代で矯正歯科治療を始めたAさんの場合

治療前(74歳)

ご紹介するAさん(70代・女性)は、奥歯は左側に咬み合わせがずれた「交叉(こうさ)咬合」、前歯は下の歯が上の歯の外側に位置する「反対咬合」で、すでに下の歯が6本失われた状態でした。
また残っている歯も、上下の咬み合わせが前後にずれた状態で、治療前はかなり歯肉退縮が進んでいました。これを放置すると、さらに歯を支える歯槽骨に負担がかかり、早晩、歯を失うことになるでしょう。

治療前(74歳)

治療中

そこで治療では矯正歯科が中心となり、歯を失ったところにインプラントを埋入し、上部には仮歯を装着した後、マルチブラケット装置により咬み合わせを整えていきました(金属のかぶせ物をした歯や神経を抜いた歯も、矯正歯科治療で動かすことができます)。

治療中

治療後(76歳)

約2年の矯正歯科治療を経て、奥歯の咬み合わせが改善されたことで咬合高径(こうごうこうけい/咬み合わせの高さ)が上がり、ものを嚙みやすい状態となりました。また下の歯列にはかぶせ物の治療をするための隙間を十分確保することができました。
ただし、もっと早くに矯正歯科治療を受けていれば、歯を必要以上失うことなく、より満足のいく治療ゴールが設定できたと思われます。

治療後(76歳)

不正咬合の改善は、口の中の健康維持に役立ちます。しかしその一方、長年、口腔内の問題を放置しておくと治療計画が複雑化し、また矯正歯科治療以外に、インプラントや補綴治療などを併用することとなり、治療期間や費用が多くかかってしまいます。

歯周病やむし歯の予防に役立つ矯正歯科治療は、究極の予防歯科です。
8020を達成するためにも、早めに矯正歯科を受診することをおすすめします。

50代半ばまでに矯正歯科治療を受け、
8020達成を目指しましょう!

次にご紹介するのは、50代で矯正歯科治療を開始した二人の患者さんの例です。一人は2023年現在80歳で、みごとに8020を達成したBさん、もう一人は現在77歳で達成がほぼ確実なCさんです。

Case2

53歳で治療を開始し8020を達成したBさん(80歳)

主訴:反対咬合

治療前(53歳)

下顎が前に出た「骨格性下顎前突」で、下顎は小臼歯から前に空隙があり、右側の犬歯(前から3番目)から左側の第1小臼歯(前から4番目)までの7本が完全に「反対咬合」になっていました。

治療前(74歳)

治療開始から約2年半

矯正歯科治療によって歯列が整い、隙間はなくなっています。また、咬み合わせが逆だった右側の犬歯から左側の第1小臼歯までの7本の歯のかぶさりも改善されました。

治療開始(約2年半)

治療後(58歳)

約4年半かけて歯を動かした結果、前歯の正中線(上下の前歯の中心線)が一致し、1歯対2歯(犬歯から奥の歯が、上顎の歯1本に対して下顎の歯2本の割合で咬み合っている状態)の緊密な咬合状態が達成できています。

治療後(58歳)

治療後9年(67歳)

デコボコや隙間もなく、よい状態を維持できています。補綴物や充填物も大きな問題は生じていません。歯肉も引き締まったピンク色で、歯周組織も健全であることが推察されます。現在80歳のBさんは、今も健全な歯周組織を維持しています。

治療後9年(67歳)

治療後のBさんの言葉

「治療してからは以前のように手で口もとを隠さなくてよくなり、話していても唾が飛ばなくなりました。友達と温泉に入ると、皆に「入れ歯を外しなさい」と言われますが、『これ、みんな自分の歯よ!』と自慢しています」。

お顔立ちの変化をみてみましょう

  • 治療前(53歳)
    治療前(53歳)

    治療前は、お顔立ちからしても下顎が前に出ていることがわかります。

  • 治療終了時(58歳)
    治療終了時(58歳)

    矯正歯科治療では下顎を時計回りに少し回転させたため、オトガイの突出感が改善されています。

  • 治療後4年(63)
    治療後4年(63)

    動的治療の終了後、咬み合わせを安定させるための保定期間に入っています。63歳になられましたが、むしろ初診時よりも若々しい印象です。

  • 治療後9年(67歳)
    治療後9年(67歳)

    さらにその4年後。口もとも変わりありません。

Case3

52歳で治療を開始し、達成がほぼ確実なCさん(77歳)

主訴:開咬

治療前(53歳)

正面から見ると、奥歯を咬み合わせても上下の前歯が咬み合わない「開咬」の状態。舌で上下の前歯を押す癖があるため、前歯が唇側に傾斜して「空隙歯列」になっていました。また舌が正常な位置より低い位置にある「低位舌(ていいぜつ)」のため、口腔周囲筋の使い方のトレーニング(MFT)を行ってから矯正歯科治療に入りました。

治療前(53歳)

治療開始から約1年半

矯正歯科治療によって上下の前歯の隙間を閉じることができ、上の歯が下の歯にかぶさるようになりました。

治療開始(約1年半)

治療後(55歳)

2年3か月の治療期間を経て、口もとが改善されています。MFTを行ったことで、舌で前歯を押す癖もなくなりました。

治療後(55歳)

治療後13年(68歳)

唇を自然に閉じることができ、治療直後と変わらない安定した咬み合わせを維持できています。補綴歯(かぶせ物の歯)も含め、28本すべての歯が残った状態で、77歳になった今も矯正歯科を受診されるなど、口腔内の衛生管理にはとても熱心です。

治療後13年(68歳)

治療後のCさんの言葉

「よく噛めるようになって、ご飯がおいしく食べられるようになりました。先生にはすごく感謝しています。矯正歯科治療をして本当によかった」。

お顔立ちの変化をみてみましょう

  • 治療前(52歳)
    治療前(52歳)

    前歯が突出しているため、横顔では口もとの突出感が認められ、唇にも“もったり”とした印象があります。

  • 治療終了時(55歳)
    治療終了時(55歳)

    矯正歯科治療により、口もとの突出感が改善され、唇を閉じた際、口もとがやや引き締まってみえます。

  • 治療後3年(58)
    治療後3年(58)

    動的治療の終了後、咬み合わせを安定させるための保定期間に入っています。よい状態を維持しています。

いかがでしたか? 
矯正歯科治療は歯を支える歯槽骨や歯肉などに問題がなければ、いくつになっても受けることができます。しかし、中高年は歯や歯周組織に問題のあることも多いため、まずはその治療を優先し、時には一般歯科と連携を取りながら治療を進めることとなります。そのため、治療期間や内容が複雑になりがちで、費用も多くかかってしまいます。

矯正歯科治療は見た目の改善と咀嚼機能の改善以外に、自分の歯を残すことを目的として行う医療です。中高年でも治療は可能ですが、治療開始は早いほうがよいでしょう。

厚生労働省の歯科疾患実態調査では55歳を超えると歯数の減少が進行することが示されています。つまり、50代が8020達成の大きな分かれ目になります。

歯並びや咬み合わせが気になる人は、50代半ばまでに矯正歯科治療を受け、8020を達成しましょう。

第50回記念日本臨床矯正歯科医会大会・九州大会レポート

第50回 日本臨床矯正歯科医会・九州大会レポート

The JpAO – A Leader in Clinical Orthodontics for Half a Century」をテーマに

令和5年2月21日(火)~2月22日(水)に第50回日本臨床矯正歯科医会大会・九州大会(佐藤英彦大会長)が開催されました。今回の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止による開催自粛後、2年ぶりのリアル開催となりました。

 

【第50回記念大会記念行事「JpAOの未来」】

第一部として行われた「記念式典」では、公益社団法人日本矯正歯科学会の齊藤功理事長をはじめとする国内外からの来賓5名から祝辞をいただきました。続いて本会設立メンバー(以下、ファウンダー)である9名のうちご存命の菅原勇会員、多胡彬会員、松本圭司会員の3名に対し、これまでの多大な功績を称え、大会直前の総会で承認された名誉会員の称号が授与されました。

第二部では「50周年記念座談会」が行われました。それに先駆けて松本会員、菅原会員へのインタビューの様子が「ファウンダーからのメッセージ」として放映されました。

 

松本圭司会員(左)と菅原勇会員(右)

二名のファウンダーの、決してご高齢とは思えない矍鑠としたインタビューの様子に、我々会員も背筋が伸びる思いでした。

 

その後は「JpAOの未来」をテーマに野村泰世第24代現会長と元会長3名(篠倉均第13・14代会長、池森由幸第17代会長、浅井保彦第20代会長)による公開座談会が行われました。

本会のファウンダーの思いを継承し、今後の本会と矯正歯科界の発展のために会員として何を選択していくべきか、非常に考えさせられたプログラムでありました。

 

【『Looking forward to the Next Half Century -A Gift of Wisdom to our Future Leaders』 九州支部企画】

日本臨床矯正歯科医会が50年の節目を迎えるにあたり、今回支部企画として経験豊富な3名の会員に、次世代の矯正歯科医たちに伝えたいことを、それぞれの立場から語っていただきました。

まずは小坂肇会員より、『矯正歯科治療後の長期安定性を考える−長期経過症例から見えてくるもの−』と題してご講演をいただきました。異なる不正状態を有する長期経過9症例ご紹介いただき、治療後に咬合を不安定にする要因とともに、長期安定するためにどのような要素を考慮すべきかについて、ご解説いただきました。長期安定性を得るために、歯列咬合だけでなく、顎態や筋などの広範囲を関連要因ととらえる視点を持ち、各症例が有する特性や背景を理解した上で、治療方針や保定管理を考える必要があることを学ばせていただきました。

続いて安香譲治会員より、『歯科矯正用アンカースクリューの25年間』と題して歯科矯正用アンカースクリュー(TADs)の登場で矯正歯科治療がどのように変化してきたのか、ご講演いただきました。TADsを黎明期より使用してこられた経験から、TADsをそれぞれ異なる目的で使用した7症例をご紹介いただき、幅広い応用法についてご提示いただきました。TADsの登場が矯正歯科臨床においていかに重要であるかを再認識するとともに、さらに今後TADsの世界がどのように進化していくのか、期待を抱かせていただけるご講演でした。

最後に島田正会員より、『半世紀・・・変わったこと。変わらないこと。−矯正歯科に関わった50年から観えたこと−』と題してご講演をいただきました。創立50周年を迎えた日本臨床矯正歯科医会の足跡について、ご自身の40年間の矯正歯科専門開業医としての足跡も交えつつご紹介いただきました。半世紀の間に大きく変わったものの、本質的に変わらないことや変わって欲しくないことがあるという、矯正歯科界への想いの溢れた素晴らしいご講演でした。

3名の会員の長年の臨床経験に触れるとともに、これからの矯正歯科界をリードするであろう若い矯正歯科医に向けての大きなご助言も賜り、50回記念大会を総括するに相応しいご講演となりました。

 

【『中高年の矯正歯科治療』 学術企画シンポジウム】

今回の50回記念大会では、「中高年の矯正歯科治療」と題したシンポジウムを行い、学術委員の篠倉千恵会員から「中高年者の矯正歯科治療に関する会員アンケートの結果報告」、同じく学術委員の朝井寛之会員より「中高年の矯正歯科治療における歯の移動量に関わる研究:下顎前歯に着目して」と題し、発表が行われました。その後、三村博会員より「上下顎同時移動術を施術した中年の骨格性上顎前突症例」、佐藤英彦会員より「中高年の矯正歯科治療の患者としての経験から伝えたいこと」、野村聡会員より「重篤な歯周疾患を伴う高齢者の矯正歯科治療を経験して」、阿部純子会員より「中高年の開咬症例 プロファイルの変化、機能的な問題の改善と診断」、稲毛滋自会員より「非外科的に治療した中高年骨格性下顎前突の長期安定症例について」と、症例報告を交えて中高年の矯正歯科治療に関する考えをお話しいただきました。

学術委員会からの2題では、ここ5年間また20年前の神奈川県における調査に比しても中高年の矯正歯科治療患者が増加していること、多くの中高年患者が機能面の改善を主訴としていることが示されました。一方、本会会員の意識としては、中高年の矯正歯科治療においては、治療目標を若年者とは変えるという回答が多数であったにも関わらず、朝井会員による形態的研究では、本会会員の治療結果においては、「若年者と中高年者の治療結果においては有意な変化が認められず、会員の多くが中高年の矯正歯科治療は難しいという意識を持ちながらも、しっかりと治療を行い若年者の矯正歯科治療とはかわらない結果をだしている」ことが示唆されました。

 

その後に続いた、症例報告では中高年特有の治療の難しさに対する対応を示していただき、大変有益でした。治療結果については、若年者とは異なる中高年患者の問題に配慮した治療目標を設定している症例もありましたが、良好な予後は治療目標の設定が間違いではないことを示しているように感じました。

 

中高年の矯正歯科治療においては、歯周病を始め、欠損歯や失活歯が多いことが問題となることが多いと思いますが、今回軟組織の厚みや加齢による変化についても改めて強調されたようにも思います。会場からも活発に質問をいただき、演者7名に最後に中高年患者の治療目標設定に関する見解をご発言いただきました。中高年患者が増加している中ではありますが、本会でもまだまだ中高年の矯正歯科治療に関する報告は充分とは言えず、また10年後には改めてこのような形で会員が中高年の治療について考える機会があればよいと感じました。

 

【招待講演1(渉外委員会企画)】

Dr. Kim, Byoung Ho(韓国臨床矯正歯科医師会 KSO)に『CBCT superimposition of Class III non-surgical treatment』と題してご講演いただきました。

骨格性III級のケースに上顎のMARPE (miniscrew assisted rapid palatal expansion)を用いた拡大と 下顎のSkeletal anchorageを用いた歯列の遠心移動を行い、その治療変化をCBCT画像の重ね合わせにより紹介した。比較結果は、様々な文献でも見られるようにMARPEによって骨格性の変化が認められるとのことであった。成長のあった成人が含まれるにもかかわらず、歯列の遠心移動によって下顎の反時計回転を起こすことができ、咬合平面は平坦化される。大変興味深かったことは、治療終了時下顎前歯周囲の歯槽骨のBone Levelは一旦は減少するが、保定中に良好な回復が起きていることが認められるとのことである。MARPEは故障の頻度が気になるところであるが、Dr. Kimによればそれも10%ほどとのことである。

 

【招待講演2(渉外委員会企画)】

Dr. Richard Chen-Feng Cheng(台湾口腔矯正医学会 TOS)に『Orthodontic Treatment for Facial Asymmetry Patient』と題してご講演いただきました。

顔面の非対称患者の治療に対しては、最初にその評価をすることが大事である。Dr. Chengによると、オトガイよりも鼻の歪みの方が非対称として認識されやすいとのことである。しかしながらオトガイの偏位が4ミリ程になると非対称と認識される。講演では、軟組織の不調和がある第二大臼歯の鋏状咬合のケースや、顎関節可動域に問題があり、マニュピレーションとスプリントを使用したケース、および咬合平面のカントを改善したケースなどが紹介された。それらはすべて、外科的処置を行わずに矯正歯科治療単独で良好な結果が得られたものであった。治療前の顔面非対称に対する評価をしっかり行うことが、正しい治療方針の決定や良好な治療結果をもたらすということが示された素晴らしい内容であった。

 

【スタッフプログラム1】

スタッフプログラム1では、株式会社デンタルタイアップ代表取締役、小原啓子先生に「100円グッズから始める「歯科医院の整理・収納アイデア集」見た目がキレイ! スタッフが働きやすい! 空間を有効活用できる!!」と題してご講演をいただきました。

経営学から応用したマネジメントシステムの中の一つ、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)より具体的な事例を写真で紹介していただきながら、わかりやすく解説をしていただきました。

【スタッフプログラム2】

「MFTと矯正歯科治療の効果的な連携―機能と形態の長期安定性をめざして―」と題して、MFTの第一人者である高橋治先生、未哉子先生にご講演いただきました。満席の会場の中、先生方の患者さんへの愛を感じるたくさんのスライドをご提示いただきました。患者さんにどう伝えるか、伝わるとどう変わっていくのか、たくさんの長期症例から学ばせていただきました。

 

 

【第18回ブレーススマイルコンテスト表彰式】

「ブレーススマイルコンテスト」(後援:日本歯科矯正器材協議会)は矯正歯科治療中の方を対象にした笑顔のフォトコンテストです。2005年からスタートした同コンテストは今回で18回目を迎え、その表彰式が大会2日目の2月22日に開催されました。

今回は 『さあ、笑顔を解き放とう!』 をテーマに募集しましたところ、コロナ禍のなか、普段マスクに隠された明るい笑顔が解き放たれた様子や一生懸命に治療に励む姿など様々なシーンに彩られた394作品(会員外128作品)もの応募を、全国の5歳から60歳と幅広い年齢層の方からいただきました。

多数の応募作品の中から栄えある最優秀賞に輝いたのは、田中雲雀さんの 『押忍』 でした。空手の道着姿で輝かしいトロフィーの前でガッツポーズした写真はとても凛々しさを感じさせる素敵な笑顔の作品でした。優秀賞には我妻ゆきのさんの 『私の夏休み~2022~』でした。やっと行くことができた旅行先で浴衣を着て撮った作品で、まさに笑顔が解き放たれていました。九州大会大会賞には佐藤真夕さんの 『GROW UP!』 が選出されました。治療を開始した小学生のときの写真とともに現在高校生になった3つ子さんを収めた温かい作品でした。

3年ぶりの対面による通常開催となったため、受賞者の方全員に参加していただくことができました。写真のエピソードなど直接受賞者からお話を伺うこともでき、コロナ禍の終わりを感じさせる希望に満ちた表彰式となりました。

 

【アンコール賞】

深井統久会員に「非抜歯により治療したアングルII級症例」と題し下記内容の症例発表をしていただきました。

【症例の詳細】:初診時年齢 10 歳2か月の男子,主訴は上顎前歯のガタガタ.既往で上顎前歯の過剰歯を抜去.側貌はやや上口唇の突出感を認めたが,正貌は対称.口腔内所見では上顎右側側切歯が口蓋側転位し,下顎前歯と逆被蓋を呈していた.上顎歯列のスペース不足は-6.0mm に対して,下顎歯列の叢生は-2.0mmであった.また上下顎歯列とも狭窄していた.

【診断】上顎前歯の叢生を伴うアングルⅡ級不正咬合.

【治療方針】下顎歯列の叢生は軽度で,上下歯列の拡大と成長による臼歯関係の改善を見込んで非抜歯で治療を行うこととする.上顎歯列の側方拡大後,大臼歯の遠心移動を行う.下顎歯列も拡大後,上下顎歯列にマルチブラケット装置を装着し前歯の整列をはかる.

【治療経過】上顎に hyrax type の固定式拡大装置を装着して側方拡大を開始.その後,GMD にて上顎大臼歯の遠心移動,1 年後に Nance に交換し上顎歯列にマルチブラケット装置(.018×.025)を装着して前歯の整列に移行.下顎は lip bumper にて大臼歯の拡大と整直をおこない,マルチブラケット装置にて下顎歯列を整列.第二大臼歯のコントロールおよび上下歯列の整列とスペースを閉鎖し咬合を確立した.

【結果と考察】 抜歯の可能性も考えられたが、第一小臼歯抜去を選択した場合上下顎歯列は狭いままで,上下顎前歯は必要以上に後退したものと考えられた.上下顎歯列とも狭窄しており下顎歯列の叢生は軽度でかつ前歯の位置も問題はなく,上顎大臼歯を遠心に移動することで治療可能と判断し非抜歯を選択した.治療開始年齢が10 歳と早期に治療を開始する利点が、本症例でも示されたと考える

 

 

第50回記念日本臨床矯正歯科医会大会・九州大会のご案内

令和5年2月21・22(火・水)の両日、第50回記念大会・九州大会(大会長 佐藤英彦)をグランドハイアット福岡にて開催いたします。

テーマは「The JpAO – A Leader in Clinical Orthodontics for Half a Century」です。

今大会では、矯正臨床の重要課題を採り上げた各種大会プログラムはもちろんやスタッフの各職種に向けたセミナーなど、当医会ならではプログラムが多数企画されております。また第50回記念大会にふさわしく、これまでの矯正歯科臨床を振り返る特別プログラムも準備しております。ぜひ医院のスタッフ皆様でご参加ください。

【主なプログラム】

学術企画シンポジウム『中高年の矯正歯科治療』 2月22日(水)9:00~11:30

『中高年の矯正歯科治療についての会員アンケートの結果ならびに考察』篠倉千恵(会員・学術委員会)

『中高年の矯正治療の実際〜前歯の移動ならびに側貌の変化に着目して~』朝井寛之(会員・学術委員会)

『上下顎同時移動術を施術した中年の骨格性上顎前突症例』 三村 博(会員・東京支部)

『中高年の矯正歯科治療の患者としての経験から伝えたいこと』 佐藤英彦(会員・九州支部)

『重篤な歯周疾患を伴う高齢者の矯正歯科治療を経験して』 野村 聡(会員・中四国支部)

『中高年の開咬症例 プロファイルの変化、機能的な問題の改善と診断』 阿部純子(会員・近畿北陸支部)

『非外科的に治療した中年骨格性下顎前突の長期安定症例について』 稲毛滋自(会員・神奈川支部)

九州支部企画『Looking forward to the Next Half Century -A Gift of Wisdom to our Future Leaders』 2月22日(水)14:30~16:00

『矯正歯科治療後の長期安定性を考える -長期経過症例から見えてくるもの-』小坂肇(会員・東京支部)、

『歯科矯正用アンカースクリューの25年間』安香譲治(会員・東京支部)

『半世紀・・・変わったこと。変わらないこと。- 矯正歯科に関わった50年から観えたこと -』島田正(会員・神奈川支部)

 

記念式典・記念座談会 第50回記念行事「JpAOの未来」 2月21日(火)16:10~17:30

 

海外招待講演 2月21日(火)14:40~16:05

『CBCT superimposition of class III non-surgical treatment』Kim, Byoung Ho(Korean Society of Orthodontics)

『Orthodontic Treatment for Facial Asymmetry Patient』Richard Chen-Feng Cheng(Taiwan Association of Orthodontists)

アンコール賞受賞発表 2月21日(火)14:15~14:35

『非抜歯により治療したアングルⅡ級症例A non-extraction case of Angle Class II malocclusion』

深井統久(会員・近畿北陸支部)

 

そのほか、学術展示(2月21日、22日)、症例展示(2月21日、22日)、商社展示(2月21日、22日)、矯正歯科器材協議会によるランチョンセミナー(2月21日(火)12:40~13:40、2月22日(水)11:40~12:40)、懇親会(2月21日(火)18:30~20:30 会場:ホテルグランドハイアット福岡3Fボールルーム)、ブレーススマイルコンテスト表彰式(2月22日(水)13:20~13:50)が予定されています。

 

また、会員診療所のスタッフの方には下記のプログラムが企画されています。

スタッフプログラム2月22日(水) 11:40~15:30

〇スタッフプログラム1 2月22日(水) 11:40~13:10

『100円グッズから始める「歯科医院の整理・収納アイデア集」見た目がキレイ! スタッフが働きやすい! 空間を有効活用できる!!』小原 啓子(株式会社デンタルタイアップ)

〇スタッフプログラム2 2月22日(水) 14:00~15:30

『MFTと矯正歯科治療の効果的な連携 -機能と形態の長期安定性を目指して-』高橋治(会員・東京支部)高橋未哉子(高橋矯正歯科クリニック)

 

大会参加費

(事前申込みは令和5年1月20日(金)17:00まで)

正会員:無料

準会員:6,000円

会員診療所スタッフ(DH、DA、DT、TC、受付、その他):6,000円

会員家族(歯科医師)・勤務医:5,000円

会員外大学関係者:5,000円

会員外: 15,000円

※当日参加は会員のみ受け付けます。会員以外の参加に関しては事前登録お願いします。

 

会場へのアクセス

大会会場:ホテルグランドハイアット福岡 3F ボールルーム

〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉1丁目2−82

TEL:092-282-1234(代表)

メイン会場・スタッフ会場・症例展示会場:3F ボールルーム

商社展示:3Fロビー

詳しくは、ホテルグランドハイアット福岡ホームページをご覧ください。

https://www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/grand-hyatt-fukuoka/fukgh

 

第50回大会参加申込に関するお問い合わせ先

〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9
(一財)口腔保健協会 学会部内 日本臨床矯正歯科医会事務局
Tel:03-3947-8891/Fax:03-3947-8873

第18回ブレーススマイルコンテスト受賞作品発表

第18回ブレーススマイルコンテスト受賞作品発表

~“最優秀賞”は、兵庫県在住の田中(たなか) 雲雀(ひばり)さんの作品に決定!~

矯正歯科治療中の方を対象とした笑顔のフォトコンテスト「第 18回ブレース スマイル コンテスト」の受賞作品を決定しました。
今回は「もうすぐ笑顔の出番です」をテーマに作品を募集した結果、全国の5歳から60歳までの幅広い年齢層から394作品とたくさんの応募を頂きました。第1 次選考、第2 次選考と厳正な審査の結果、「最優秀賞」に輝いたのは、兵庫県在住の田中雲雀さん(16 歳)の『押忍』でした。
また、「優秀賞」には、埼玉県在住の我妻ゆきのさん(24 歳)、「大会賞」には福岡県在住の佐藤真夕さん(16 歳)が選ばれました。

最優秀賞、優秀賞、大会賞は2023年 2 月 22 日(水)、第 50 回記念日本臨床矯正歯科医会大会・九州大会内にて開催する表彰式にて表彰する予定です。

 

最優秀賞『押忍』 田中(たなか)雲雀(ひばり)さん(兵庫県在住)

【応募コメント】
歯並びと少し出っ歯な所が気になり矯正歯科医院を紹介してもらい治療中です。装置を取り付けた時は少し痛かったけど、少しずつ歯並びが良くなっていくのが目に見えてわかるので仕上がりが楽しみです。

 

優秀賞『私の夏休み〜2022〜』 我妻(あづま)ゆきの さん(埼玉県在住)

【応募コメント】
この夏、行動制限が無くなり旅行先で夏らしいことをたくさんしました♪矯正をはじめる前は口元を気にして隠して笑っていましたが、今は綺麗に並んできたので思いっきり笑うことができて嬉しいです!!

 

大会賞『GROW UP!』 佐藤(さとう)真夕(まゆ)さん(福岡県在住)

【応募コメント】
誕生日が一緒の私達3つ子は、歯並びの悪さまで一緒。小学生の頃から3人一緒に治療を始めました。当時の写真をこうして眺めると、大きくなったなと実感します。高校生活を満喫して、もっと成長していきたいと思っています。

 

第18回ブレーススマイルコンテストの概要
1 テーマ 「さあ、笑顔を解き放とう!」
2 募集期間 2022年 7 月 1 日(金)から 8月 31 日(水)まで
3 応募条件 応募者が矯正歯科治療中の方
4 表彰式 2023年2月22日(水)
第50回記念日本臨床矯正歯科医会大会・九州大会 内表彰式
※予定※
5 応募総数 394作品
6   賞 最優秀賞1作品
優秀賞1作品
大会賞1作品
7 主 催 公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会
8 後 援 日本歯科器材協議会