過日こんなことがありました。「この子(13才)の受け口がずっと気になっていたのですが、ちまたの噂では子供の歯が全部生え替わってから矯正治療を始めるのが良いと言われているので、子供の歯が生え替わるのを待っていました。子供の歯が全部抜けたので診ていただけませんか。」と、お母さんと子供さんが来院されました。拝見すると子供さんの上あごの骨と下あごの骨の大きさの不調和が受け口の原因であることが診てとれました。
そこで、お母さんには「子供の歯が全部生え替わってから矯正治療を始めるのが良いという噂は、適切ではありません。受け口の場合は、より治療が難しい受け口とならないために、遅くとも前歯が永久歯に生え替わった時に受け口であれば矯正歯科を専門とする医師に診ていただいたほうが良いですね。」と、お話しいたしました。
これは受け口を例にしたお話ですが、出歯、開咬、凸凹の咬み合わせについても、大人の歯が全部生えそろう前に矯正治療を開始したほうがより効果的な治療が行える場合があります。その判断には矯正治療に関する臨床経験がものをいいます。お父さん、お母さんが子供さんの歯並びや咬み合わせが気になり出したら矯正歯科を専門とする医師(私たち矯正歯科医会のリスト)に相談することをおすすめします。