第10回「ブレーススマイルコンテスト」レポート&インタビュー
■表彰式の舞台は、名古屋国際会議場
矯正歯科専門開業医の団体である公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)が主催する「ブレスマ」こと「ブレース スマイル コンテスト」。矯正歯科治療中の方を対象とした笑顔の写真を募集するこのフォトコンテストが始まったのは、2004年の夏のこと。以来、毎年回を重ね、今年2月11日(水・祝)、名古屋国際会議場にて第10回「ブレスマ」の表彰式が行われました。
第10回という節目の式典が行われた名古屋国際会議場は、その名のとおり、国際的な学術会議やアーティストのコンサートなどが行われる複合施設。冬らしい晴天に恵まれた表彰式当日も、矯正歯科医会をはじめ、いくつかの団体が展示会やコンベンションを行っていました。
そんな同会議場の一角に用意された控室には、受賞者の皆さんが少し早めに集合。これから表彰式の流れについての説明を受け、昼食後のリハーサルを経て、午後1時30分からの本番に備えるのです。
■第10回「ブレスマ」の表彰式までの道のり
表彰式のレポートに入る前に、「ブレスマ」についてもう少しご説明しておきましょう。
「ブレスマ」には毎年、応募テーマがあり、そのテーマに沿った写真と応募コメントが選考の対象となります。第10回では「未来に輝く笑顔」というテーマのもと、下は3歳から上は65歳まで、全国の幅広い年齢層の方から379点の写真と応募コメントが事務局に寄せられました。これは一昨年の248作品、昨年の236作品を大きく上回る応募数。
昨年9月11日(木)には、そんな応募作品すべてを一堂に並べて一次審査が行われました。
主催する矯正歯科医会の先生方、そして共催の日本歯科矯正器材協議会の担当者がもっともワクワク、ドキドキするというのが、実はこの一次審査。会議室のテーブルいっぱいに並んだ患者さんの笑顔の写真を見ると、「毎年のことながら、涙が出るほど感動する」のだそうです。
特に昨年の一次審査では、
「今回は例年以上にバラエティに富んだ写真がそろいましたね」
「この笑顔、最高!」
「このコメントにぐっときますね」……などの声が上がり、審査時間ギリギリまで熱心に作品を見入る先生たちの姿が。
甲乙つけがたい”未来に輝く笑顔”を絞り込むのは、審査する側にとって楽しくも悩ましい作業といえるのです。
その後、10月に開催された日本矯正歯科学会大会の会場で二次審査を行い、ようやく「最優秀賞」、「優秀賞」、「大会賞」、そして今回は特別に「コメント賞」と「審査員特別賞」が選ばれました。
さて、時間を表彰式当日に戻しましょう。
受賞者の皆さんは昼食を済ませた後、13時から壇上でのリハーサルに臨みます。座る場所や花束を受け取るタイミングなど、細かなやりとりを重ねて本番に備えるのです。
最初はちょっと緊張気味だった受賞者の皆さんも、リハーサルを終える頃には、少し和やかな表情に……。
さあ、いよいよ表彰式の始まりです!
★次のページでは、コメント賞・審査員特別賞・名古屋大会賞をご紹介!
第10回「ブレーススマイルコンテスト」レポート&インタビュー
■日本発の「ブレスマ」、ついに海外でも開催決定!
午後1時30分、いよいよ表彰式が始まりました。 実は、今回の式典には”例年にない出来事”があるのです。それは日本で生まれた「ブレスマ」が、今年の夏から韓国でも開催されることになり、その調印式が壇上で執り行われるということ。
矯正歯科医会会長 富永雪穂先生が開会の挨拶でそのことにふれた後、ステージに韓国の矯正歯科医の団体であるKSO(コリアン・ソサエティ・オブ・オルソドンティスツ)の会長、ヘオン・ジェ・チョウ先生が登壇、調印証書に署名しました。
その後の挨拶で、
「治療中の笑顔の写真コンテストは、矯正歯科治療が人生にとって前向きなものであることを示す、素晴らしい取り組みです」と話したチョウ先生。
笑顔は世界の公用語。治療中の笑顔は、よく噛める整った歯並びの大切さを広く世の中に伝える、とっておきの方法なのだと、改めて感じた瞬間でした。
続いて、過去9回の最優秀賞受賞作品がスクリーンに映し出され、10年という節目を振り返った後、昨年、第9回の最優秀賞を受賞した東京都在住の山本俊太朗さんからのコメントが紹介されました。
★山本俊太朗さんからのコメント
さらに「ブレスマ」に応募した患者さんの数がもっとも多かった会員診療所として「いぬづか矯正歯科クリニック」(愛知県安城市)が紹介された後、いよいよ第10回「ブレスマ」の受賞者の発表となりました。
■コメント賞は東京在住の湯村さん、審査員特別賞は埼玉県在住の飯島さん
まず、最初に表彰されたのは「コメント賞」と「審査員特別賞」です。
この二つの賞は、今回特別に設けられたもの。湯村さんのコメントに出てくる知人の言葉とその言葉に応えるように治療を始めた湯村さんに、審査した先生方が深く共感しての受賞です。また、飯島さんの写真からは治療中のいきいきとした親子のやりとりが感じられることから、今回の受賞につながりました。
コメント賞『やった~三位!』
湯村 光智子 さん(東京都在住)
審査員特別賞『おもしろいボクNO1♡』
飯島 虎さん(埼玉県在住)
両賞に輝いた作品がステージ後方のスクリーンに映し出されると、会場からは大きな拍手が。
湯村さん、飯島さん、受賞おめでとうございます!
■名古屋大会賞は、愛知県在住の仲保さん
続いて、表彰式の開催地である矯正歯科医会・東海支部の先生たちによって選出された「名古屋大会賞」の発表です。
受賞した仲保さんは、もうすぐ高校生。中学3年の夏休み、ブレースがとれる数日前に撮影した1枚が、今回の賞につながりました。
名古屋大会賞『矯正なんて気にしない!』
仲保(なかやす)歩美さん(愛知県在住/15歳)
プレゼンターから賞状と記念品が、そして主治医の犬束先生から大きな花束が授与されると、仲保さんはにっこり笑顔に。
仲保さん、受賞おめでとうございます!
★次のページでは、優秀賞・最優秀賞をご紹介!
第10回「ブレーススマイルコンテスト」レポート&インタビュー
■優秀賞は大阪府在住の岡部さんと、神奈川県在住の三富さん
続いて、優秀賞2作品の表彰です。
今回は50代と10代のお二人が賞に輝きました。
優秀賞『還暦への挑戦~ライバルは息子だ!』
三富正規さん(神奈川県在住/59歳/会社員)
優秀賞『奏でるスマイル』
岡部文楓(もか)さん(大阪府在住/14歳)
一緒に出席するはずだった息子さんが急きょ欠席となった三富さんは、受賞作品にまつわるエピソードを披露してくれました(その内容は次ページで)。
また、現在もまだブレースをつけて治療中の岡部さんは、持参したクラリネットで、「ドラえもん」のテーマソングを演奏し、会場を魅了しました。
優秀賞に輝いたお二人にも、賞状と記念品、そしてそれぞれの主治医から祝福の花束が手渡され、大きな拍手に包まれました。
三富さん、岡部さん、受賞おめでとうございます!
■最優秀賞は、東京在住の飯野さんご兄妹
そして、いよいよ最優秀賞の表彰です。
第10回「ブレスマ」の最優秀賞に選ばれたのは……、東京在住の兄妹、飯野正太郎さんと優衣さんの作品でした。
最優秀賞『2人仲良くビッグスマイル!!』
飯野正太郎さん・優衣さん(東京都在住/11歳・8歳)
この受賞作品を撮った場所は、矯正歯科の待合室。応募コメントにあるように、妹の優衣さんが受け口の治療に使われる「フェイシャルマスク」という器具を初めてつけた昨夏のことだそうです。
小学5年生と2年生の仲よし兄妹が大きな花束を受け取ると、会場からは盛大な拍手が。
正太郎さん、優衣さん、受賞おめでとうございます!
こうして見ると、今回選ばれた4作品は、「親子」「兄妹」「友人」、そして「大好きな楽器」という、この先の輝く未来をともにつくっていく大切な存在とのツーショットばかり。
「未来に輝く笑顔」という今回のテーマにはぴったりの作品ばかりだと、改めて感じました。
★次のページでは、受賞者の皆さんにインタビュー!
第10回「ブレーススマイルコンテスト」レポート&インタビュー
■治療をして、自分の笑顔が好きになれた!
「小学6年生になる直前に矯正治療を始めて、去年(中学3年)の8月にブレースがとれました。もともと八重歯があって、前歯が受け口なのが気になっていて、応募コメントに書いたように、写真を撮られるのがイヤだったんです。だから矯正治療で治したいと思ってはいたんですけど、痛そうだし、ブレースをずっとつけているのはツライだろうなって……。
でも、実際につけてみたら、最初の1週間を過ぎたら慣れてきて、それほどでもありませんでした。部活でもバレーボールをやっていたんですが、特に問題なかったです。歯磨きはしにくかったですけどね(笑)。磨き方を歯科衛生士さんに教わったのに、途中で小さいむし歯ができちゃいました。でも治療中は毎月、先生に口の中を診てもらうから、むし歯も初期で見つけてもらえたのはよかったです。これからは笑顔の写真をたくさん撮っていきたいです!」
★お母さんより
「歩美は乳歯が抜けきらないうちに永久歯が生えてきたこともあって、以前は歯並びがバラバラでしたが、治療後はすっきりきれいに。家でもよく笑うようになりました」
■治療も「ブレスマ」も若さを保つ貴重なチャレンジ
「息子よりも1ヵ月ほど早く矯正治療を始めました。学生時代から自分の歯並びの悪さが気になっていましたが、なかなか機会をつかめなくて。息子が治療することになったとき、先生から60代の患者さんもいると聞き、それなら自分でもできるかもと思い、一緒に始めることにしました。ブレースをつけて今で1年半経ち、歯って本当に動くのだなと変化を実感しているところです。
「ブレスマ」には、主治医の先生にはナイショで応募しました。受賞したいとは思っていましたが、まさか本当にするとは(笑)。人生、いくつになってもチャレンジすることは大切ですね! 今59歳。整った歯並びで還暦を迎えられるよう、これからもがんばりますよ」
★応募写真のエピソード
「実は息子は写真を撮る直前、母親から「もっと勉強しなさい」と叱られてしょげていたのです。そんな息子も、先日、希望中学に無事合格。今日は二重にうれしいです」
■キレイな歯並びになって、宇宙関係の仕事につきたい!
「中学の吹奏楽部でクラリネットを吹いています。クラリネットは見た目と音がカワイイから好き。矯正治療でブレースをつけたら、クラリネットの音が変わるかもって診療所の先生に言われたときは「えー」って思ったけど、実際にはそうでもなかった。ブレースがついていても、普通に音が出るし、吹くときに痛みとかも全然ないです。
治療のきっかけは、お母さんにすすめられて。前歯が大きくて前に出て目立っているのが気になってはいたから、治療できてよかったと思います。今は、ブレースをつけて2年目ですけど、だいぶん歯並びが整ってきて、診療所で治療前の石こう模型と見比べるとぜんぜん違ってビックリ。キレイな歯並びになって、将来は宇宙関係の仕事をするのが、私の夢です!」
★お母さんより
「応募した写真は家の近くの公園です。締切前にあわてて撮りました。今日は「文楓ちゃんは笑顔がいいね」と主治医の先生に言ってもらえて、うれしく思います」
■兄妹いっしょだから、治療はぜんぜんつらくないよ!
「ブレースをつけた日の晩ごはんがステーキで、そのまま食べたらはさまったので、小さく切って食べました。でも、2週間くらいたったら、普通の大きさでも食べられるようになりました。あと、ブレースにベロがはさまってちょっと痛かったけど、だんだん、はさまらないコツがわかってきたから、もう平気。応募写真でつけているのはフェイシャルマスクっていうものです。毎日、家に帰って食事して歯みがきをした後にちゃんとつけています!」(正太郎さん)
「写真をとったのは、はじめてお兄ちゃんといっしょのフェイシャルマスクをつけた日です。きょうせいは、お兄ちゃんがやってるから、やりたいっておもいました。わたしは体操をならってるので、フェイシャルマスクをつけて、おうちで練習することもあります。これからもきょうせい、がんばります!」(優衣さん)
受賞した皆さん、それぞれの想いを語ってくださって、ありがとうございました。
■最後に……
「ブレスマ」はこれからも毎年開催され、今年の夏には第11回目の応募が始まります。今、治療中の方も、これから治療を始める方も、このコンテストへの応募を、矯正歯科治療中の思い出のひとつにしてみてはいかがでしょう。
>>「ブレスマ」に関する詳細は、矯正歯科医会の公式サイトをご覧ください。
(http://www.jpao.jp/)