第11回「ブレース スマイル コンテスト」受賞者インタビュー
まずは、表彰式までの舞台裏をご紹介しましょう
■全国から集まった402点のブレーススマイルを厳正に審査
会議室の長テーブルの上にずらりと並んでいるのは、矯正装置(ブレース)をつけた笑顔の写真の数々。その一つひとつを矯正歯科医をはじめ、歯科関係団体や養護教諭団体からの外部審査員の方々が、真剣なまなざしで見つめています。そして、口々に「この笑顔! かわいいわねえ」、「この写真は素晴らしいですね!」などと微笑んだり、感心したり……。
これは2015年10月8日(木)に行われた、「ブレース スマイル コンテスト(以下、ブレスマ)」の1次審査のひとコマです。
「ブレスマ」とは、その名のとおりブレースをつけて矯正歯科治療をしている人たちのスマイルフォトの公募展のこと。第11回目を迎えた今回は、”見て!私の歯、私の笑顔”というテーマのもと、全国の5歳から58歳までの幅広い年齢層から、昨年の379点を上回る402点もの作品が寄せられました。
1次審査では、それら全作品をくまなく見たうえで、作品の絞り込みを行います。写真を見て、その写真に添えられたコメントを読んで、さらにもう一度写真を見て……。バラエティ豊かなスマイルフォトはどれも甲乙つけがたく、毎度のことながら選考会は、先生たちにとってうれしくもあり悩ましくもあるよう。今回も当初の時間を超えつつ、ようやく12作品が選ばれました。
そしてその後、11月に福岡で開催された日本矯正歯科学会大会の会場での2次審査を経て、ついに受賞作品が決定したのです。
■きめ細かな打ち合わせを経て、いざ表彰式へ!
日にちは変わり、2016年2月24日(水)。
いよいよ第11回「ブレスマ」の表彰式当日がやってきました。開催場所は、JR「長野」駅に隣接したホテルメトロポリタン長野。
ホテルに入り、会場に近づくと……。今回の受賞作品が大きく貼り出されています。
(その一つひとつについては後ほどじっくりご紹介することにいたしましょう)
表彰式のスタートは午後1時30分からの予定ですが、運営にあたる矯正歯科の先生たちは映像や照明のチェック、全体の進行確認、通しのリハーサルなど、やるべきことがたくさん。スタッフ控え室では、朝から本日の進行について最終的な打ち合わせが行われていました。
一方、受賞者の皆さんも午前11時には控え室に続々とご到着。少し緊張した面持ち? いえいえ、今回はなんだか皆さんリラックスモードです。
今年は学校の期末試験と重なったということで、残念ながら2組の受賞者がご欠席となりましたが、そのかわり、表彰式では例年にはない”サプライズな演出”が用意されました。
さて、その中身とは……!?
★次のページでは、第11回「ブレスマ」コメント賞、審査員特別賞、
優秀賞1作品目をご紹介!
第11回「ブレース スマイル コンテスト」受賞者インタビュー
壇上から、そしてスクリーンから輝く笑顔が会場にあふれました
■世界へ広がる「ブレスマ」。これからは台湾でも開催へ
午後1時30分。いよいよ表彰式の始まりです。
まずは日本臨床矯正歯科医会の会長である富永雪穂先生のごあいさつ。その後は調印式。昨年の韓国に続き、台湾国内でも「ブレース スマイル コンテスト」が開催されることが決まったのです。
日本、韓国、台湾とアジア圏で着実に広がる「ブレスマ」。そのうち国境を越えての国際コンテストの開催なども、もしかしたら夢ではないかもしれませんね!
■第10回から引き継がれた「ブレスマ」のバトン
調印式の後は、歴代最優秀賞受賞者の作品紹介。続いて昨年、第10回 最優秀賞を受賞した東京都在住の飯野正太郎くん・優衣ちゃんからの、こんな応援メッセージが紹介されました。
仲よくマスクをつけた二人の写真を覚えている方も多いのでは? キュートな笑顔が印象的な正太郎くんと優衣ちゃん、素敵な応援メッセージをありがとうございます。
■コメント賞は、愛知県在住の梅本さおりさん
さて、ここからは受賞者の表彰です。
まずはコメント賞。スクリーンに、産まれたばかりのお子さんへの愛情を表現した梅本さおりさんのコメント『大好き!大好き!! 』が大きく映し出されると、あたたかい拍手が起こりました。
矯正歯科治療を受けている梅本さんだからこそ、お子さんに歯並びの大切さを伝えていけるのですね。
梅本さん、受賞おめでとうございます!
■審査員特別賞は、大阪府在住の横山和也さん
続いては、審査員特別賞の発表です。
今回選ばれたのは、横山和也さん(32歳)の『Be Happy!~最高の笑顔を~』。
作品に写されているのは、披露宴での乾杯シーンの幸せいっぱいの笑顔です。見ている側も、思わず微笑んでしまう自然な表情の1枚と思いの詰まったコメントが、みごと賞に輝きました。
表彰式に奥様と一緒にお越しくださった横山さんは、ステージ中央で表彰状と大きな花束を受け取ると、にっこり笑顔に。横山さん、そして奥様、受賞おめでとうございます!
■優秀賞1作品目は、元気いっぱいの高校生コンビ、大越さんと仁平さん
そして、お次は優秀賞に選ばれた2作品の発表です。
1作品目は、富山県在住の高校生コンビ、大越咲由莉さん(17歳)・ 仁平奈穂さん(17歳)の作品『いつもの笑顔』。
学業の関係で、本日は残念ながらご欠席となったお二人に代わって、治療先である矯正歯科医院の歯科衛生士さんが賞状を受け取りました。
大越さんと仁平さんは受賞の喜びの声を直接伝えたいと、素敵なビデオレターを届けてくださいました。その元気なメッセージをご紹介しましょう。
弾ける笑顔がとっても印象的な大越さん、仁平さん、受賞おめでとうございます!
★次のページでは、第11回「ブレスマ」の優秀賞2作品目と最優秀賞をご紹介!
第11回「ブレース スマイル コンテスト」受賞者インタビュー
今回はW受賞も登場! そして、最優秀賞に選ばれたのは……!!
■長野県在住の伊野翔真くんは、優秀賞と長野大会賞のW受賞に
いよいよ表彰式は後半へと向かいます。
次は、優秀賞の2作品目です。受賞したのは、伊野翔真くん(10歳)の「仕上げ磨きby弟」。なんとこの作品は、優秀賞とともに今回の表彰式の開催地である長野にちなんで設けられた長野大会賞にも選ばれるというW受賞となりました!
まるでお母さんのようにブレースのついた歯をみがいているのは、弟くんなのですね!
みがいてもらっているお兄ちゃんの表情が、またなんともいえません。兄弟愛にあふれた微笑ましい日常のワンシーンですね。ステージの中央で表彰状と花束を受け取った翔真くん、栄えあるW受賞、おめでとうございます!
■そして、今回のトップ・オブ・「ブレスマ」の発表へ!
さて、残るは最優秀賞の発表を残すばかりとなりました。
第11回「ブレース スマイル コンテスト」最優秀賞を獲得したのは………、和歌山県在住の橋本夏果さん(13歳)の作品『夏はやっぱりスイカだね~』です!!
おいしそうなスイカを手にキュートな笑顔を見せる橋本さん。少し日焼けをした健康的な表情からは、治療をしながら毎日明るく元気に過ごしている様子が見て取れます。そのすこやかさに多くの票が集まったのでしょう。
あいにく学校の定期テストと重なったことで、橋本さんは本日ご欠席。代わりに、ビデオレターを通してキュートな笑顔と喜びのメッセージを届けてくださいました。
明るい夏果ちゃんにぴったりの作品
戸村矯正歯科クリニック 戸村博臣先生
夏果ちゃんの受賞を聞いたときは驚くと同時に、うれしさがこみ上げてきました。受賞作品は、いつも診療所でハキハキと明るく話してくれる夏果ちゃんのイメージにぴったりです。親知らずが生えるまでまだ少し時間がかかりますが、これからも気長にがんばりましょう!
橋本さん、受賞おめでとうございます!!
★次のページでは、表彰式に出席した2組の受賞者にインタビュー!!
第11回「ブレース スマイル コンテスト」受賞者インタビュー
受賞したお二人に写真に込めた想いをうかがいました!
–矯正歯科治療を受けようと思ったきっかけを教えてください
実は、高校のときも矯正歯科治療を受けようとしたのですが、僕の場合、顎変形症で治療には外科手術が伴うと聞き、また治療期間も長くかかるために断念した経緯があります。でも、自分の咬み合わせのことはずっと気になっていました。
そんな折、2010年に旅行中の事故で車いすを使う生活になり、足が動かなく、手の感覚もなくなってしまいました。最初は寝たきりで「人生終わった」と思いましたが、主治医の「完全に治る見込みは5%ある」という言葉を聞いて、気持ちが奮い立ちました。少しでも可能性があるなら、がんばろうと。それでリハビリに精を出し、退院後は思い切って一人暮らしをすることにしたのです。
矯正歯科治療を受けようと思ったのは、そんなときですね。事故後、「かむ」ことには何の問題もなかったので、動くところをきちんと機能させたいと思いました。
–矯正歯科治療を始めていかがですか?
最初はメチャクチャ痛くて、どうしようかと思いました(笑)。今も通院後の1週間ほどは痛みがありますが、それもだんだん慣れてきましたね。
治療して変わった点としては、歯みがきへの意識が高まったことです。かつてはチャチャッと済ませていましたが、今は電動歯ブラシで時間をかけてしっかりみがいていますよ。
–今は治療のどの段階ですか?
手術後にしっかり歯が咬み合うようにするための術前矯正の段階です。手術は今年中に受ける予定です。この先、治療はまだまだ続きますが、もはやブレースは自分の一部ですね。
–「ブレスマ」応募のきっかけは?
矯正歯科の先生からすすめられたのが直接のきっかけです。そして、応募作にふさわしい写真を探していて、たまたま見つけたのが2年前の披露宴の乾杯シーンでした。
事故に遭ってから、どうも引きつった笑顔の写真が多かったのですが、披露宴では心の底から笑顔になれたんです。本当に顔が疲れるくらい笑いました。そんな当時の思い出とともに選んだ1枚です。
–受賞した今のお気持ちは?
笑顔のコンテストに自分が応募できるだけでもうれしいのに、受賞できるなんて思ってもいませんでした。あのときケガをして、そこから笑顔になれて、もらえた賞だと思うと感無量です。
–最後に、横山さんにとって歯とはどんなものですか?
歯は、命に近いものですね。歯がなくなるとご飯が食べられなくなりますし、長生きしている人は、たいてい自分の歯が残っていると聞きますから。僕も自分の歯を大切にしていきます。
心からの笑顔、受賞は納得です!
中島矯正歯科 中島 健先生
横山さんは、あらゆる面において意識の高い方。治療についても、最初に外科手術を併用することになるかもしれないとお伝えすると、きちんと理解してくださいました。今回の受賞も納得ですね。賞を取りに行くような写真ではなく、心からの自然な笑顔ですから。結婚式の日だけはブレースをはずしたいという方もいる中、ブレースをつけての満面の笑みが、担当医としては本当にうれしく思います。
–矯正歯科治療を受けようと思ったのはなぜですか?
学校の歯科健診で歯の矯正が必要かもと指摘されたから。それまでは前歯が出ているなとは思っていたけど、治療は考えたことがなかったから、びっくりしました。
–矯正歯科治療を始めることについて、どう思いましたか?
自分では出っ歯は気にならなかったけど、電車とかですごい出っ歯の人を見ると、やっぱり治したほうがいいかなあと思って。装置をつける前は、痛いのかなとか、どれくらい続くのかなっていう不安がありました。
–「ブレスマ」に応募したきっかけは?
大学病院の待合室ではじめてポスターを見て、お母さんが「おもしろそうだから出してみようか」っていったのが、きっかけです。でも、なかなかいい写真が撮れなくて、締め切りの日の朝、お母さんが撮ってメールで送ったのが、あの写真です。
治療前は不安もあったけど、このコンテストを知ってから、気持ちが明るくなりました! 治療中の笑顔のコンテストってすごく楽しいし、いいと思う。
–応募作品のエピソードを教えてください
母:治療中の笑顔の写真ということで、いろんなシチュエーションで撮影したのですが、表情がよくても装置が見えていなかったり、なかなかうまくいきませんでした。それで締め切り当日になってしまって。でも、せっかくだから応募したいと思い、朝のいつもの光景を撮りました。ふだんから次男は歯みがきをしっかりするほうで、「そんなんじゃダメだよ」とお兄ちゃんを注意して、仕上げみがきをしてあげることがよくあるんですよ(笑)。
–W受賞をした今のお気持ちは?
すごくうれしいです! これからはもっとカラーゴムを楽しみたいな。次は何色にするかを考えるのが楽しいんです。ゴムの色を変えると、学校でも「色が変わったね」って女の子にいわれたりするし(笑)。これからも治療を楽しんでいきたいです。
家族で治療に協力していることがわかる1枚です
松本歯科大学病院 藤田一隆先生
翔真くんはいつも好奇心旺盛。カラーゴムを選ぶにしても、使用する装置にしても、「次はどんなの?」と治療に対して常に前向きです。今回のW受賞は、担当医としても名誉なことです。ご家族全員で矯正歯科治療に協力していることが伝わる写真であることが、何よりもありがたいですね。
受賞した皆さん、そして担当の先生、それぞれの想いを語ってくださってありがとうございました!
■最後に……
「ブレスマ」はこれからも毎年開催され、今年の夏には第12回目の応募が始まります。今、治療中の方も、これから治療を始める方も、このコンテストへの応募を、矯正歯科治療中の思い出のひとつにしてみてはいかがでしょう。
>>「ブレスマ」に関する詳細は、矯正歯科医会の公式サイトをご覧ください。
(http://www.jpao.jp/)