第12回「ブレース スマイル コンテスト」表彰式レポート&インタビュー
矯正歯科治療中の方を対象にした笑顔のフォトコンテスト「ブレース スマイル コンテスト」。
2005年にスタートして以来、今回で第12回目を迎えました。
ここでは、去る2月22日(水)に行われた表彰式の様子とともに、
受賞者への取材を通して、矯正歯科治療によって生まれる”とっておきの笑顔”の秘密に迫ります。
(記事作成 2017年4月15日)
取材・文:冨部志保子(編集・ライター)
第12回「ブレース スマイル コンテスト」表彰式までの歩み
■今年の応募総数は310点!
これを読んでいるあなたなら、すでに聞いたことがあるのでは?
「ブレース スマイル コンテスト(以下、ブレスマ)」。それは名前のとおりブレース(矯正装置)をつけて矯正歯科治療をしている人たちのスマイルフォトの公募展です。
2005年の第1回開催から回を重ねた同コンテストは、昨夏には“ただいま矯正治療中!とっておきの笑顔”というテーマのもと、第12回目の公募が行われました。応募期間は約2カ月間。その間、テーマどおりの素敵な笑顔が続々と集まり、結果的には全国の3歳から54歳という幅広い年齢層の方から310点もの作品が寄せられました。とりわけ今回は、『日本カメラ』や『アサヒカメラ』といった写真雑誌に募集告知をしたこともあり、バリエーション豊かな作品が揃ったようです。
そんな応募作品の中から栄えある賞に輝くには、1次審査と2次審査(最終審査)という二つの関門を通過しなければなりません。その第1関門である1次審査の様子を、少しご紹介しましょう。
■一次審査で11作品を選出。そして公開審査を経て
時は、2016年9月8日(木)――。
例年どおり、会議室のテーブルの上に全応募作を並べ、一つ一つの作品とコメントに審査員が目を通し、”これは”と思う作品に付箋をつけていきました。審査にあたったのは、主催する日本臨床矯正歯科医会と日本歯科矯正器材協議会のほか、歯科関係団体、養護教諭団体らの外部関係者の皆さま。毎年のことですが、数百枚ものブレーススマイルを目にするのは、審査員である矯正歯科医や関係者にとっては大きな喜びだといいます。
そのことを表すように、審査会場ではこんな言葉が聞かれました。
「以前は一人で写っている写真が多かったけれど、だんだん友人同士や親子など集合の写真が増えてきて、矯正歯科治療が日常に定着していることを感じて、うれしいですね!」
「どの作品も素敵なので一次審査で選ばれない作品に申し訳ないですね。できれば応募してくれた全員に何かをあげたい気持ちです」
「笑っても目立たないブレースがあることを『ブレスマ』で知ってもらって、それなら治療してみたい!という人もいそう。このコンテストを通じて、矯正歯科治療のいろんな面を伝えていけるといいですね」
食べづらい、磨きにくいなど、日常生活でマイナスの面もある治療期間は、同時に気になる歯並びが整っていくプラスの期間でもあります。集まったブレーススマイルはどれも、そのプラス面を如実にあらわすもの。それだけに簡単に甲乙はつけがたく、審査は楽しくも悩ましい時間となるのです。今回も予定時間をめいっぱい使って、ようやく入選11作品が選ばれました。
そして第二関門となる二次審査は例年とは趣向を変え、今回は一般の方々からのFAX投票も受け付ける公開審査のスタイルを導入。その結果、約3週間の間に1025通もの投票がありました。
受賞作品はこうしたFAX投票と全国の矯正歯科医による投票結果を合わせ、ついに決定したのです。
■きめ細かな打ち合わせを経て、いざ表彰式へ!
日にちは変わり、2017年2月22日(水)。
第12回「ブレスマ」の表彰式当日がやってきました。開催場所は、成田空港の近くにある「ヒルトン成田」。
会場入口には、今年も受賞作品が大きく貼り出されていました。
表彰式は午後2時スタートの予定ですが、運営にあたる矯正歯科の先生たちは前日から現地に入って、映像や照明、全体の進行などを入念にチェック。当日も朝からホテルで最後の調整を行っています。
また、受賞者の皆さんも当日の午前11時には控え室にご到着され、壇上でのリハーサルで座る場所や花束を受け取るタイミングなどを確認した後、本番に臨みます。
★次のページでは、第12回「ブレスマ」表彰式の様子をご紹介!
第12回「ブレース スマイル コンテスト」表彰式-1
和やかに始まった表彰式。
壇上にもスクリーンにも笑顔があふれて
■日本発の「ブレスマ」がさらにワールドワイドに!
午後1時30分。いよいよ表彰式の始まりです。
まずは日本臨床矯正歯科医会(以下、矯正歯科医会)の会長である富永雪穂先生のごあいさつ。その中で、「ブレスマ」がますます国際的な展開になってきたというお話がありました。実は、一昨年の韓国、昨年の台湾に続き、来年からはシンガポールでも「ブレース スマイル コンテスト」が開催されることが決まったのです。
表彰式会場には、韓国、台湾、シンガポールを代表する矯正歯科団体の代表者もお見えになり、今後のさらなる発展を予感させました。
■前回の覇者からの応援メッセージの紹介も
その後、「ブレスマ」の最近5年間の受賞者の作品がスクリーンに映し出された後、昨年、第11回 最優秀賞を受賞した和歌山県在住の橋本夏果さんから届いた”応援メッセージ”が紹介されました。
真っ赤なスイカを手にした夏果さんの笑顔は、まるでお日様のようで印象的。お名前とぴったりの爽やかで元気な作品ですね。夏果さん、素敵な応援メッセージ、ありがとうございます!
■千葉大会賞は、千葉市在住の村上のの子さん
さて、ここからは受賞者の表彰です。
まずは開催地である千葉県で活動する、矯正歯科医会・千葉支部の先生たちが選んだ千葉大会賞の表彰から。
壇上のスクリーンに大きく映し出されたのは、ブルーの服とメタルのブレースの組み合わせがチャーミングな、千葉市在住の村上のの子さん(12歳)の作品『自慢の笑顔』!
人なつっこい笑顔がチャーミングな、のの子さん。治療中であっても、歯並びが整ってくると笑顔に自信がもてるのですね。受賞おめでとうございます!
(村上さんの喜びの声は、のちほどご紹介いたします)
■優秀賞1作品目は、広島県在住の小木戸胡春さん
続いては、審査員特別賞の発表です。
続いては、優秀賞に選ばれた2作品の発表です。
そのうちの1作品に輝いたのは、広島県三次市在住の小木戸胡春(こきど・こはる)さん(13歳)の作品『夏のアスレチック』!
学校の関係で、本日は残念ながらご欠席となった胡春さんに代わって、主治医の森本徳明先生が賞状を受け取りました。
そして、小木戸さんからは受賞の喜びを直接声で伝えたいと、素敵なビデオレターが届けられました。その元気なメッセージをご紹介しましょう!
ビデオレターの最後は主治医の先生にぺこりとおじぎをして締めくくってくれた胡春さん。主治医の森本先生からは、「今回の受賞も小春ちゃんが、がんばってきたからだと思いますよ。おめでとう!」とのコメントがありました。
元気な笑顔が印象的な小木戸さん、受賞おめでとうございます!
★次のページでは、第12回「ブレスマ」の優秀賞2作品目と最優秀賞をご紹介!
第12回「ブレース スマイル コンテスト」表彰式-2
明るい未来を目指す すこやかな笑顔が最優秀賞に!!
■優秀賞2作品目は、大阪府在住の飯伏莉沙さん
続いて、優秀賞の2作品目の発表です。
選ばれたのは、大阪府和泉市在住の飯伏莉沙さん(22歳)の作品『自慢の矯正装置』!
シンデレラ城をバックに、真っ青な空と弾けるような笑顔のコンビネーションが印象的な1枚ですね。楽しい一日を想像させる素敵な作品です。飯伏さん、受賞おめでとうございます!
(飯伏さんの喜びの声は、のちほどご紹介いたします)
■そして、今回の最優秀賞の受賞者は、熊本県在住の掛須悠由さん
さて、残るは最優秀賞の発表を残すばかりとなりました。
第12回「ブレース スマイル コンテスト」最優秀賞を獲得したのは………!!
熊本県上益城郡在住の掛須悠由(かけす・ゆう)さん(11歳)の作品『地震なんかに負けないぞ』!
元気な兄妹のスマイルフォトが、栄えある最優秀賞に選ばれました。
最大震度7の激震は多くの人の暮らしを一変させてしまいました。その重々しい事実に一筋の光を投げかけるかのような二人のすこやかな笑顔は、見る者の心を熱くします。
本日は、あいにく学校の関係で掛須さんはご欠席。その代わりに、ビデオレターを通して喜びのメッセージを届けてくださいました。
受賞をきっかけに、ますます元気に
池上矯正歯科クリニック 池上富雄先生
悠由くんの歯並びは、上あごの3番目(犬歯)と4番目(第一小臼歯)の歯が入れ替わっている、珍しいケースでした。通常だと犬歯を抜歯して治療することになりますが、悠由くんの場合は歯を抜かず、矯正歯科治療によって治しています。そのため、治療期間は3年と少し長くかかりましたが、経過は順調です。野球が好きな悠由くんは、学校ではピッチャーをやっているようです。そのせいか、「ブレスマ」に応募したときより、ぐんと背が伸びてお兄ちゃんっぽくなりました。彼は面白くて人に好かれるキャラクター。治療にもまじめです。この受賞をきっかけに、ますます元気に成長していってほしいですね。
掛須さん、受賞おめでとうございます!!
★次のページでは、表彰式に出席した2組の受賞者にインタビュー!!
第12回「ブレース スマイル コンテスト」受賞者インタビュー
表彰式に出席したお二人に
治療について、応募作についてうかがいました!
–治療を始めたきっかけは?
はじめて矯正歯科に行ったのは、小学5年生になってすぐです。きっかけは、学校の歯科検診で、矯正歯科に相談したほうがいいといわれたから。でも、その前から、よくお母さんに歯並びが悪いっていわれるから自分でも気になっていました。聞いたところ私は4歳くらいまで指しゃぶりをしていたみたいで、よけい悪くなったみたいです。
–はじめて行った矯正歯科はいかがでしたか?
先生がすごく優しそうで、ここで治療したい! って思いました。だから、ほかの診療所には行っていません。検査をした後、先生にいわれてビックリしたのが、私は上の前歯が出ていたんじゃなくて、下の前歯が引っこんでいたということ。ずっと出っ歯だと思っていたから驚きました。
–Ⅰ期治療から始めて、今はⅡ期治療ですね?
はい。上あごの裏側にだけ装置をつけていたⅠ期治療が去年終わって、すぐにブレースをつけたⅡ期治療が始まりました。Ⅱ期に入る前に上の歯を2本抜きましたけど、全然不安とかはありませんでした。今はだいぶん咬み合わせがよくなってきました。矯正治療って楽しいです。歯みがきも先の細いブラシを使って歯のすき間を磨くと、いろいろ取れるし(笑)。
–学校には矯正している子はどれくらいいますか?
今、吹奏楽部で打楽器を担当しているんですけど、部の中には矯正している子がたくさんいます。管楽器を吹く子でもブレースをつけていますよ。クラスでも10人くらいはいると思います。たいてい目立たない装置をつけていますけど、私は逆に目立つのにしたかったんです!人と違うほうが楽しいから(笑)。
–じゃあ、矯正治療は楽しみでした?
はい。学校でもブレースをつけている子を見ると、かっこいいなって思うので。早くブレースをつけたかったです。
–歯が動く痛みは気になりますか?
通院した翌日に痛いときがありますけど、すぐに慣れます。それよりも、今は歯並びが整ってきているので鏡を見るのが楽しみです。治療が終わったら、もやしとか、ほうれん草とか、ナムルとか、食べにくいものを食べたいです。でも、ブレースにはすっかり慣れているので、とれるとちょっと寂しく感じるかもしれません……。
–受賞作品にはどんなエピソードがありますか?
実は、2回目の応募です(笑)。今回応募したものは、去年のゴールデンウォークに家族で天城峠に行ったとき、お母さんに撮ってもらいました。「ブレスマ」に応募するために1年間、いろんなところに行くたびにアップの写真を撮ってもらっていたんです。前回応募したときはアップじゃなかったから、今度はブレースをしっかり見せて、賞がとれるといいなと思っていたので、本当にとれてうれしいです。
–最後に、将来の夢を教えてください
ハリセンボンの春菜さんみたいな、切り返しの上手な芸能人になりたいです! きれいな歯並びで夢を実現できるといいな。
治療を、素敵な人生のきっかけに
たきもと矯正歯科 瀧本正行先生
今は目立ちにくい矯正装置もありますが、あえて自分からメタルのブラケットを選んだのの子ちゃん。ふだんは穏やかな女の子ですが、「ブレスマ」に二度目のチャレンジをして成果を出せたのはすごいと思います。うちの診療所からはこれで2人目の受賞者です。主治医として、うれしいですね。私の診療のモットーは「きれいな歯並び、素敵な笑顔の人づくり」。のの子ちゃんも、歯並びを治して素敵な人生を送ってほしいです。
–矯正歯科治療を受けようと思ったのはなぜですか?
もともと出っ歯で、自分としてはそれがすごくコンプレックスでした。もう小学生くらいから気になっていて、いつか治したいと思っていたんです。
–数ある治療先から、矯正歯科をどうやって選んだのですか?
実は治療を始めるとき、歯科衛生士学校に通っていて、治療先は”自分が働きたいと思えるところ”が条件でした。それには技術的なこともありますし、通院のしやすいさや診療所の雰囲気など、いろんな要素がありますよね。実際、診療所に行ってみて、”ここなら”と思えたので決めました。
–では、今のお仕事は歯科衛生士さんですか?
はい。治療中、院長先生からうちで働いてみないかと声をかけていただいて、スタッフになりました。自分がいいと思った診療所で働けることになって、うれしいですね。スタッフには矯正治療の経験者が多く、私も治療をしたことで歯が動くときの痛みや歯みがきの大変さが実感できました。
–応募作品のエピソードを教えてください
去年の春、歯科衛生士学校の友達と、久しぶりに東京ディズニーランドに遊びに行ったときのものです。確か、カメラを置いて、タイマーで撮影した1枚です。「ブレスマ」への応募をねらって撮ったものではないのですが、楽しくて自然に笑顔になっていました(笑)。一緒に写っている友人も今は歯科衛生士になっていて、受賞を伝えたら喜んでくれました!
–矯正治療について今どんなふうに思いますか?
あと少しでブレースが外れる予定です。外れたら、ホワイトニングをして整った歯をさらにきれいにするつもりです。先ほどお話ししたように、治療したことで患者さんの気持ちがより理解できるようになり、この装置をつけたらこんな感じになるよとか、実感をもって患者さんに伝えることができます。思えば、自分のコンプレックスが私を歯科衛生士に導いたのかもしれません。これからも矯正歯科の歯科衛生士として、前向きに進んでいきたいと思っています。
矯正治療は前向きな治療。そのことが伝わる1枚です
ヤマダ矯正歯科 山田尋士先生
飯伏さんが「ブレスマ」に応募していることを、実はずっと知らなくて、最終選考に残っていると聞いたときは驚きました(笑)。もちろん、うれしかったですよ。飯伏さんはスタッフとしても素敵な人。頭がよくてハッキリしていて、患者さんとのコミュニケーションもきちんと取れる歯科衛生士です。彼女を含め、うちの診療所からはこれで2人目の受賞者です(注:一人目は第6回目で優秀賞を受賞した出﨑朝子さん)。どちらも、作品から矯正治療が前向きな治療であることが伝わります。今後その意識がさらに広まることを願っています。
受賞した皆さん、そして担当の先生、それぞれの想いを語ってくださってありがとうございました!
■最後に……
「ブレスマ」はこれからも毎年開催され、今年の夏には第13回目の応募が始まります。今、治療中の方も、これから治療を始める方も、このコンテストへの応募を、矯正歯科治療中の思い出のひとつにしてみてはいかがでしょう。
>>「ブレスマ」に関する詳細は、矯正歯科医会の公式サイトをご覧ください。
(http://www.jpao.jp/)
※受賞者の年齢は作品応募時のものです。