vol.16 プロゴルファー・宮里優作さんインタビュー:トレンドウォッチ:本会の活動・ニュース|質の高い矯正治療と安心の提供に努める矯正歯科専門の開業医団体「日本臨床矯正歯科医会」

vol.16 プロゴルファー・宮里優作さんインタビュー

体のバランスを整えてケガをなくしたい!そのために始めた矯正歯科治療

いま知っておきたい矯正歯科の選び方

体のバランスを整えてケガをなくしたい!そのために始めた矯正歯科治療

■宮里優作さんって、どんな人?
宮里優作プロゴルフファンには説明するまでもありませんが、まずはプロフィールからご紹介しましょう。”宮里3兄妹”の次男として1980年に沖縄で生まれた宮里優作さんは、父・優さんの指導のもと3歳からゴルフを始め、ジュニア時代から数々のタイトルを獲得してきました。その腕前は高く評価され、東北福祉大学時代は日本アマチュアゴルフ選手権、日本学生ゴルフ選手権で優勝するなど圧倒的な強さをみせ、なんとプロトーナメントにおいても出場4試合連続でトップ10に入った実績も。
その後、2003年にプロデビュー。しかし、1年目からシードこそ手にするものの、約10年間なかなか優勝には届きませんでした。

宮里優作プロそうした中、宮里プロは2011年2月からの1年半、矯正歯科治療を受けることに。
プロゴルファーとして、今に続く輝きを放ち始めたのは、治療を終えた直後から。印象的なのが、2013年の「JTカップ」での初優勝です。最終18番のロブショットがカップへと吸い込まれた瞬間、感極まって号泣する姿を覚えている方も多いのではないでしょうか。

宮里優作プロその後、翌2014年には開幕戦で2勝目を挙げ、年をまたいでの国内連勝を達成。2015年にもシーズン1勝し、賞金ランクでも2位に。さらに、今年からは選手会会長に就任するなど、国内男子ゴルフ界のリーダーとして注目されているのです。
こうしてみると、矯正歯科治療の前と後でゴルファーとしての活躍ぶりが大きく変化していることがわかります。宮里プロは矯正歯科治療をどのような思いで始めたのか、そしてご自身としては、治療後の変化をどう感じているのか―。
じっくりとお話をうかがいました。

Qまず、矯正歯科治療を始めたきっかけを教えてください
宮里・富永宮里僕はもともと歯が丈夫で、これまでむし歯ができたことは一度もありません。ただ、歯科医院には定期的に通ってメンテナンスを受けていました。そんな僕が矯正歯科治療を始めたのは、2010年にかかりつけの一般歯科医に「一度、治療を考えてみては?」とすすめられたのがきっかけです。以前から、咬み合わせの悪さが気になっていたこともあって、一般歯科医が紹介してくれた矯正歯科医にくわしく説明を受けたうえで治療に踏み切りました。
富永信頼できるかかりつけの一般歯科医から信頼できる矯正歯科医を紹介してもらったというのは、すごくいい方法ですね。ちなみに、咬み合わせが気になっていたということですが、矯正歯科治療を受けたいというお気持ちは以前からおありだったんですか?
宮里いえ、具体的に受けたいとまでは思っていませんでした。ただ、当時ケガが多くて、自分の体のバランスをもっと整えたいとは感じていたんです。そんなときに、矯正歯科医からスポーツをするうえで咬み合わせは大切だということ、咬み合わせが安定しないとケガに直結することなどの説明を受けて、プロとして常に最高のコンディションを保ちたいし、そのためにできることなら何でもやりたいと思っていたので、迷いなく始めることにしました。
Qもともとは、どんな歯並びだったのでしょう?
宮里宮里治療前は、上の2番目の歯(側切歯)2本が中に入り込んでいました。そのせいか、歯を噛みしめたときに奥歯に隙間ができたり、前歯に強く力がかかったり。口の中の力の伝わり方がアンバランスな状態でした。自分の体をコントロールするには、もっと力がうまく伝わる状態でなければいけないので、治療して安定した咬み合わせを手に入れることでケガを防ぎたいという思いが強かったですね。

富永なるほど。では、宮里プロは矯正歯科治療について、ある程度はご存知だったんですね。
宮里いえ、当時は専用の器材を歯につけて動かしていく、くらいの知識しかありませんでした(笑)。ただ、妻が一足先に同じ矯正歯科医のもとで治療を受けることになったので、「じゃあ一緒にやろう」と。
Q治療するにあたって不安などは特にありませんでしたか?
宮里優作プロ宮里矯正歯科の先生からさきほどお話したような説明を受けたあと、X線写真を撮って、治療の流れや期間の説明もきちんと受けたので、特に不安は感じませんでしたね。僕の場合、ツアーで国内外を移動するので、定期的な通院がどうしてもできない可能性があったのですが、先生が「来られるときに来ていいですよ」と言っていただけたのも、ありがたかったです。
富永治療前にきちんとした精密検査を行い、説明に納得したうえで治療を始めるというのは基本であり、とても重要なことです。大人の場合、治療中は月に一度程度の割合で通院することになりますが、急な日程変更に対応してもらえるかどうか、治療期間中に遠方への転勤や転居が生じても転居先の矯正歯科を紹介してもらえるかどうかも、事前に確認しておきたい点です。限られた日時にしか矯正歯科医がいない医院は、そのあたりの対応がよくないかもしれません。常勤として矯正歯科医がいるところを選ぶことが大切ですね。
★次のページでは、積極的に楽しんだ治療期間についてご紹介!

矯正装置を積極的に見せて前向きに楽しんだ治療期間

Q治療中は、いかがでしたか?
治療中宮里事前に、歯が動く痛みは多少あると先生から聞いていましたが、僕の場合、まったく痛みはなく、むしろ治療を楽しんでいました。治療中に使うカラーのゴム(カラーモジュール)も、妻と一緒にあえてカラフルなものを選んだりして。通院してゴムの色を変えた日は、家に帰ると子どもたちが喜んでくれるんですよ(笑)。ですから、装置を外すときは寂しい気がしたくらいです。

富永治療に対する前向きなお言葉を聞くと、我々としてはうれしいですね。宮里プロのように、最近は矯正歯科治療を恥ずかしがらずにポジティブな態度で受ける方が増えてきました。ただその一方で、やはり装置は目立たせたくないという方もいらっしゃいます。そうした患者さんの多様なニーズに応えるために、今はさまざまなタイプの装置が揃っています。自分がどういう治療をしたいかを主治医と相談しながら、使う装置を決めていくのがいいでしょう。

カラーのゴムカラーのゴム(カラーモジュール)
矯正歯科治療で使う器具の一つで、ブラケットにワイヤーを固定するために使われる小さな輪ゴム。ブラケットをつけている間は通院のたびにつけ替えることに。カラーモジュールにはピンクやグリーンなど、カラフルな色が揃っている。


Q宮里プロはよく海外に行かれますが、日本と海外とでキレイな歯並びへの意識の違いは、お感じになりますか?
宮里感じますね。特に、アメリカはもはや矯正歯科治療は当たり前という感覚です。治療をすることで見た目を改善するというのもありますが、歳をとっても自分の歯で噛んで食べるために歯を治すという文化が根づいています。僕もその影響を受けたのか、矯正装置を見せることへの抵抗はまったくありませんでした。だからこそ、やるなら楽しもうと。
富永矯正歯科治療に限らず、何事にも積極的に前向きに行うということは、競技に対する姿勢だけでなく、人生に対する姿勢にも表れそうですね。
Q矯正歯科治療を受けて、心身にどんな変化がありましたか?
治療後宮里僕はプロデビューしてから11年近く優勝できなかったのですが、矯正装置を外した翌年から優勝するようになり、成績も毎年上がっています。それと、やはりケガが少なくなりました。ケガが少ないということは、年間を通してパフォーマンスを維持できるわけですから、プロの証ともいえます。それが今の自分の”強み”になっていますね。治療をして本当によかったと心から思っています。
富永素晴らしいですね。ほかに、咬み合わせを改善したことで身体機能にはどのような影響がありましたか?
宮里まず、歩き方が変わりました。以前は首が少し前に出るクセがあったのですが、治療後は自分のニュートラルポジションにすぐに入れるようになり、きちんとした姿勢で無理なく歩けるようになったと思います。
治療後富永ゴルフはたくさん歩くスポーツですからね。
宮里そうですね、1週間で50㎞は歩きます。それだけに、歩行時の体のバランスやスピードはとても大切なんです。治療前から歩き方のトレーニングは受けていたのですが、以前は意識していないとニュートラルなポジションに入れなかったのが、自然にできるようになったことは、すごく大きな変化点ですね。
★次のページでは、子どもの歯並びへの意識についてご紹介!

治療を通して子どもの歯に、より意識が向くように

Q一緒に治療した奥様には、どんな変化があったと思われますか?
宮里いちばんの変化は表情が明るくなって、よく笑うようになったということでしょうか。やはり、笑ったときに歯並びに自信があるのは、女性としての強みですね。僕自身も同じで、初優勝が治療後でよかったと思っています(笑)。写真に撮られるとき、歯並びがいいほうが断然印象がいいですから。妻は今でもテレビに映る僕を見て、「矯正してよかったね」と言ってくれますよ。
富永スポーツなどで活躍する方は、海外の人にとっては”日本の顔”であって、子どもたちにとってのお手本でもあります。それだけにキレイな歯並びと笑顔で写真に登場することは、歯並びに悩んでいる人や自信のない人に大きな影響力を持ちます。宮里プロのように、治療を公言して前向きに取り組むことは、一つの社会貢献だと思いますね。
Q装置がとれた今も、矯正歯科には通われていますか?
宮里はい、2カ月に一度くらいの割合で矯正歯科に行っています。リテーナーも、夜にはちゃんとつけて寝ていますよ。妻も今は装置がはずれていますが、矯正歯科には定期的に通っています。
富永矯正歯科治療で一度歯並びが整っても、その後の保定期間を怠ると歯は元あった位置に戻ろうとしますから、これからもリテーナーはぜひお続けください。
リテーナーリテーナー
矯正装置を外した後に動かした歯を理想的な位置で安定させるためにつける装置。リテーナーをつける期間を「保定期間」と呼び、その間は3カ月~6カ月に一度の通院となる。


Q宮里プロのお子さんは今、何歳ですか?
宮里・富永宮里上が8歳、下が4歳です。
富永7~8歳は前歯が永久歯に生えかわる頃で、ちょうどむし歯ができやすい時期なので、きちんとした歯みがきを習慣づけることが大切ですね。
宮里そうですね。治療を受けたことで息子たちの歯にもより意識が向くようになり、家にいるときは僕が子どもたちの歯みがきをしています。
富永いいお父さんですね!
宮里ありがとうございます。実は、僕が小さい頃、母がよく歯みがきをしてくれたんです。これまでむし歯が1本もないのは、そのおかげだと思っているので、自分の子どもにも同じことをしてあげたいなと。子どもたちも、僕や妻を見ていて矯正歯科治療にいいイメージがあるようで、上の子は自分から「いつ治療できるの?」なんて言っています(笑)。きっと、早くカラーゴムをつけたいんだと思います。
Qお子さんの歯並びで、気になることはありますか?
宮里家では子どもの歯みがきをしたり、口の中をよくチェックしたりして、自分なりに気にかけていますが、歯磨き以外で小学生低学年のうちに気をつけるべきポイントがあるのかが知りたいですね。
富永まず、そのくらいの時期になると、歯並びに関する問題がハッキリしてきます。咬み合わせや歯並びが気になる場合は、一度、かかりつけの歯科医や矯正歯科医のもとを訪ねておくとよいでしょう。なかには、一見問題ない歯並びでも専門の歯科医のもとで検査を受けることで、将来生えてくる永久歯の数が少なかったり、多すぎたりという問題がわかる場合もあります。矯正歯科では検査のために、セファログラムという頭部のX線写真を撮ることもあります。必要に応じて専門の医療機関に相談するといいですよ。
宮里宮里わかりました。
富永それから、乳歯のむし歯は生えかわるから平気だと言う方がいますが、決してそんなことはありません。子どもの歯のむし歯は永久歯の咬み合わせに大きな影響を与えるので注意していただきたいですね。それにしても、子どもの口の中を見たり指導したりする父親は、そうそういないと思います。ご自身の体験から歯並びの大切さを理解されているので、ツアーでお忙しい中でもそれができるんですね。
宮里いえいえ、そんなに大それたことではなく、ふだん仕事で家を空けることが多いので、せめて自宅にいる間はという気持ちです(笑)。あとは、母親から受けたことを引き継ぎたいという気持ちもあります。すこやかな歯は、やはり大切ですから。
セファログラムセファログラムとは?
矯正歯科で用いる、一定の規格で撮影された頭部のX線写真。セファログラムを撮影することで、上下のあごの大きさや形、前歯の傾きなどがチェックできる。矯正歯科治療の検査には不可欠なもの。

★次のページでは、ゴルフにかける思いについてご紹介!

これまでの人生で得たことを次の世代へと引き継ぎたい

Q宮里プロにとって、よい歯並びはどんな意味を持ちますか?
宮里宮里口は食事をとる際の入口で、人間が生きるうえで必要不可欠な器官のひとつです。そこに整った歯並びがあれば、しっかりものが噛めるので、いい咬み合わせは健康にもつながるんじゃないかと思いますね。
富永そうですね。実は、8020達成者を調べた結果、受け口や開咬(奥歯をかみ合わせても上下の前歯の間に隙間ができる状態)の人は一人もいなかったという調査結果が東京歯科大学から出ているんですよ。これは言い方を変えると、咬み合わせがしっかりしていると、年齢を重ねても自分の歯で食事ができる、ということです。
宮里いいですね。「芸能人は歯が命」といいますが、芸能人じゃなくてもよい歯並びは自分らしく生きるうえで大事なんですね。僕自身、治療して安定した咬み合わせのよさを実感しているので、そのことを子どもや孫の代まで伝えていきたいと改めて思います。
8020(ハチ・マル・ニー・マル)達成者
1989年より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動のこと。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われている。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まった。
日本の達成者の割合は38.3%(2011年)となっている。
8020(ハチ・マル・ニー・マル)達成者
Q今、ジュニア選手の育成をされていますが、指導するうえで大切にしていること、次世代に引き継ぎたいことは何ですか?
宮里運動能力は見た目でわかりますが、練習次第で伸ばすことができます。ですから、親御さんには個性に合った伸ばし方をすすめるようにしています。また、子どもの頃は技術よりもゴルフの楽しさやマナーをきちんと学ぶことが大事だと思うので、その部分をしっかりと根づかせたいですね。
富永その意識は歯科分野とも共通しますね。我々としては、子どものときは好き嫌いなくいろんなものを食べて、歯をみがくという生活のルールやマナーを身につける時期だと考えています。その後に矯正歯科医のもとを受診して、問題がある場合はその子に合った治療開始時期や治療方法を選択する。我々専門家としては子どもを長い目で見て、その時々に必要なことをきちんとアドバイスすることが大切だと思っています。
宮里・富永宮里確かに、その通りですね。「いいものはいい」とまわりの大人が教えてあげないと、何がよくて何が悪いのか、子どもは自分で判断できなくなってしまいます。特にゴルフは審判のいないスポーツですから、自分が自分の審判となり、状況を判断して進まねばなりません。そのためにも判断の基準を教えることが大切になります。自分が親からしてもらったように、僕自身、これまでの人生で学んだことは、次の世代に引き継いでいくつもりです。
富永これからも応援しています。今日は素晴らしいお話をありがとうございました。

★おわりに――
整っていく歯並びを楽しみながら前向きに治療を受けた宮里プロ。そのお話から矯正歯科治療とは単に見た目を整えるだけではなく、心と体の両面にプラスの影響を与えるものだということがわかります。そして、安定した咬み合わせは人生の可能性を開くものだということも。治療を機に、力強く前進する宮里プロの今後のさらなるご活躍に期待しています!
宮里優作さん公式サイト
http://yusakumiyazato.com/